6月〜7月はホタルのシーズン。自然豊かな土地に生息するため、都会で見られる機会はほぼありませんが、実は東京にもホタル観賞を楽しめる場所がたくさんあります。そこで、親子で行ける東京都内の貴重なホタル観賞スポットを紹介します。暗闇の中で美しく光が舞う光景を子どもたちの胸に焼き付けましょう。
2017/5/31:2016年公開記事内の情報を2017年の情報に更新しました。
ホテル椿山荘東京:都会のオアシスに舞う1万匹の光
森のように木々が生い茂り、季節によって彩りを変えるホテル椿山荘東京の庭園は、「都会のオアシス」と讃えられる美しさ。有形文化財の三重塔「圓通閣」など、史跡巡りも楽しめるこの庭園に、5月下旬からホタルが舞い始めます。
正面玄関の奥から庭園に下りれば、そこがホタルたちの棲む「ほたる沢」。ライトを最小限におさえた中、せせらぎの音を左に進むと、最大のホタル観賞ポイント「弁慶橋」にたどり着きます。
橋の上から沢を見下ろせば、暗闇の中に点滅する無数の光。ヒンヤリとした空気に包まれながら光の軌跡を追っているうちに、山奥の渓谷にいるような錯覚さえ覚えるでしょう。さらに進んで「木春堂」へ向かう途中の左右もホタル観賞ポイントです。小川の草むらの中に見る光は、川べりで普通にホタルを見ることができた時代を偲ばせます。
ここにいるホタルはすべてゲンジボタル。庭園を舞う約1万匹の光には、「東京の子どもにホタルを見せたい」という初代社長・小川栄一氏の願いが込められています。
Information
・住所:東京都文京区関口2-10-8
・電話番号:03-3943-1111
・ホタル観賞について:レストランや宿泊など、ホテル利用者は無料。22:00に閉園。見頃は5月下旬〜6月下旬。2017年7月2日まで、「ほたるの夕べ」ディナーブッフェを開催。ローストビーフやミニあわび丼など多彩なメニューを味わった後に、ホタル観賞を楽しめる
よみうりランド 聖地公園:淡く幻想的なホタルの光
スリランカの寺院を模した釈迦如来殿や重要文化財の菩薩像など、数々の遺跡が点在する、よみうりランドの「聖地公園」。毎年ホタルの季節には、遊園地の営業終了後にホタルイベントが開催されます。今年は「ほたる・ねぶたの宵」と題して、「青森ねぶた」の展示も同時に行なわれます。
かつてのホタルが舞う姿を取り戻そうと、2009年にスタートしたこのイベント。公園の小川にホタルのエサとなるカワニナなどを放ち、生息する環境整備を整え、2017年に第9回を迎えるまでになりました。
ホタルが見られるのは、会場内の「ほたる観賞エリア」。特に、園内を流れる小川付近がポイントです。約200〜300匹のゲンジボタルとヘイケボタルが飛び交い、6月下旬からはヘイケボタルの割合が増えてきます。淡く光りながら飛ぶヘイケボタルの姿は、まるで森の精霊が現れたように幻想的。縁日や謎解きイベントなども用意されています。
遊園地で思いっきり遊び、夕暮れからは淡く美しいホタルの舞いに酔う。そして、青森ねぶたの躍動感ある表情と圧倒的な迫力に魅了される。その体験は、子どもの心にも深く刻まれるはずです。
Information
・住所:東京都稲城市矢野口4015-1
・電話番号:044-966-1111
・「ほたる・ねぶたの宵」について:2017年6月2日〜7月2日の金・土・日曜日に開催。観賞料は300円(中学生以下無料)、18:00より開場、および整理券配布開始(混雑状況によって、時間を早めることも)。観賞時間は19:30〜21:00。整理券の順番に沿って観賞
足立区生物園:子どもが学び、自ら考えるイベントを開催
「ふれあい、いのち、共生」をテーマに、ほ乳類、魚類、両生類、昆虫など、300種以上の生きものを見られる足立区生物園。ホタルの飼育を続けて40年目となるこちらでは毎年、夜間特別開園「ホタル見night!」が開催されます。
ホタル観賞は、「足立の生きもの観察室」に設置された2メートル四方の「ホタル見BOX」でできます。約100匹のゲンジボタルが飛び交う光をケージの外から間近で楽しめます。夜間特別開園時限定の「ホタルの解説コーナー」では、ホタルの生態を映像や生体展示を用いて紹介。屋外ホタル飼育場で当日羽化したばかりのホタルの光を見られる「ホタルの野外ミニツアー」など、知的好奇心をくすぐるイベントも。
また、ホタルだけでなく、生きものたちの夜の姿を見られる点にも注目です。昼間は寝てばかりのチンチラが夜は活発に走り回る姿に、子どもたちは驚くことでしょう。セルフガイドの配布、園内キャプションと合わせて夜の生きものたちをお楽しみください。
Information
・住所:東京都足立区保木間2-17-1
・電話番号:03-3884-5577
・「ホタル見night!」について:2017年6月2日〜6月18日の毎週金・土・日曜日の18:00〜21:00に開催(最終入園20:30)。大人300円、小・中学生150円。「ホタルの屋外ミニツアー」は、19:30〜10分間隔で1日8回実施(受付は18:00〜。各回定員15名)
渋谷区ふれあい植物センター:渋谷に飛ぶ小さな命の輝き
日本で一番小さい植物園として区民から愛される「渋谷区ふれあい植物センター」では、「失われた渋谷の自然を感じられる施設に」という区民の声をもと、開園以来、13年にわたり「ホタルの夕べ」を開催しています。
ホタルの鑑賞場所は、センター内の「グリーンガーデン」。約200種の熱帯〜亜熱帯、温帯の植物が生い茂り、せせらぎが流れるこの場所で、ゲンジボタルとヘイケボタルが飛翔します。
強い光で点滅しながら植物の間を舞う、自然に近い姿を見られるのがゲンジボタル。足元のシダの間など、植物の葉の裏にも注目しましょう。一方、同温室内の「ホタルの郷」で、カーテン越しに観賞できるのがヘイケボタルです。真っ暗闇の中をイルミネーションのように高密度で光る姿は、息をのむ美しさ。ヘイケボタルは19時まで、ゲンジボタルは19時過ぎからの鑑賞がおすすめです。
Information
・住所:東京都渋谷区東2-25-37
・電話番号:03-5468-1384
・「ホタルの夕べ」について:2017年6月15日〜6月18日の開催。入園無料。開園時間は17:30〜21:00(最終入園20:15)
すみだ水族館:ホタル観賞とランタンの光で幻想的な夜を
東京スカイツリータウン内にある「すみだ水族館」で、一風変わったホタルイベント「ほたるの夜」が開催されます。期間中に展示されるのは、「東武動物公園」の「ほたリウム」で飼育されているヘイケボタル。来場者は暗くなった館内を無料で貸し出されるLEDランタンを手に周ります。館内はまるでたくさんのホタルが飛び交っているかのような雰囲気になります。
期間中は、体験プログラム「ほたる語り」を開催。館内の各所に設置されたミラーボックスにランタンをかざすと、ホタルの特徴を詩にした「ほたるからのメッセージ」が浮かび上がります。「ホタルの光は冷光 熱くない光」など、子どもと一緒に、楽しみながらホタルの生態を学ぶことができます。
館内の「ペンギンカフェ」では、「ほたるのひかりカクテル」を期間限定で提供します。カシスソーダをベースに、夜空の月に見立てたオレンジや、初夏のさわやかな風を思わせるミントをあしらい、清流に舞うホタルをイメージ。幻想的な夜の水族館にぴったりの1杯です。
Information
・住所:東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F
・電話番号:03-5619-1821
・「ホタルの夜」について:2017年6月14日〜6月18日の開催。開催時間は18:00〜21:00(水族館は9:00〜21:00)。鑑賞料は無料(別途入館料が必要)
自然に近いフィールドから、雨の日でも安心して鑑賞できる屋内施設まで、選択肢はいろいろ。夏本番を前に、子どもと一緒に美しくはかない光を楽しんでください!