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「チームラボ 偕楽園 光の祭」徹底レポ 制作者の見どころ紹介も

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茨城県水戸市の「偕楽園」では、毎年恒例の「水戸の梅まつり」にあわせ、デジタルアート集団チームラボによる「チームラボ 偕楽園 光の祭」を開催しています。2021年3月1日(月)から3月31日(水)の期間、毎日18時から20時半まで、歴史ある梅園が幻想的な光のアート空間へと一変。非日常的な光景が楽しめます。

そこで今回は、同展覧会を実際に体験し、親子におすすめの見どころをレポート。チームラボ代表・猪子寿之(いのことしゆき)さんと、コミュニケーションディレクターの工藤岳(くどうたかし)さんのコメントもあわせて紹介します!

もくじ

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水戸の「偕楽園」とは?

茨城県水戸市の「偕楽園」は、石川県金沢市の「兼六園」、岡山県岡山市の「後楽園」に並ぶ日本三名園の1つ。江戸後期(1842年)に水戸藩九代藩主の徳川斉昭によって造園されたもので、国の史跡および名勝にも指定されています。

約13ヘクタールの広い園庭には約100種類3,000本の梅が植えられ、120年以上の歴史を持つ「水戸の梅まつり」(以下、梅まつり)の開催地としても有名。梅園には早咲きから遅咲きまで数多くの品種があり、長い期間、咲き誇る梅を楽しむことができます。

2021年の梅まつりは3月1日(月)から21日(日)まで。同時開催中の「チームラボ 偕楽園 光の祭」(以下、光の祭)は3月31日(水)まで実施予定です。

「自然が自然のままアートになる」がコンセプト

同展覧会は、チームラボの「Digitized Nature(デジタイズド・ネイチャー)」というアートプロジェクトの1つ。「自然そのものが自然のままアートになる」をコンセプトに、長い年月を経て作られた自然の造形を生かし、アートに変えています。光や音を用いるため、物理的に自然を壊すことはありません。

観客自身が作品に影響を与える「インタラクティブ・アート」であることも大きな特徴です。アートの一部になったような感覚を、親子で一緒に満喫してみましょう!

呼応する松とつつじ

本展への出入り口は東門と吐玉泉料金所の2カ所。「偕楽園」には門がいくつかありますが、会期中、表門と南門は閉門しています。今回は東門から入場し、順路に沿って全8作品を鑑賞しました。

1つめは「呼応する松とつつじ」。江戸時代に植えられた樹齢約250年の霧島つつじをはじめ、歴史ある木々が光り輝く景色は圧巻です。

木々を照らす光は、それぞれ自律して点滅を繰り返していますが、近くで人が立ち止まると光の色や音が変化。ほかの木々へと伝播していきます。普段、離れた場所にいる人の存在を意識することはあまりないものですが、本作品では色の光が押し寄せてくることで、他者の存在を強く感じることができるのです。

ここでは、ぜひ実際に木の根元に立ち止まって見上げてみてください。子供も大人も、木々が重ねてきた年月を体感して圧倒されるはず。日中よりもシルエットが際立ち、1本1本の枝の形にまで見入ってしまいますよ。

具象と抽象 - 陽と陰の狭間

斉昭公の意図で、園内に陰陽の世界を体現したといわれる偕楽園。木々のざわめきを聞きながら、松とつつじの庭園=「陽の世界」から、大杉、孟宗竹(もうそうちく)、クマザサが茂る「陰の世界」へと進みます。

門をくぐると、緑に輝く巨大アートが登場! この空間は陽と陰の境界にあり、作品は聖と俗とを分ける「結界」をイメージしているのだそうです。奥行きがあるはずの森に網の目のような光が張り巡らされ、平面のレイヤーのように見えるのが不思議。

森に人が入ることで新たな線が生まれ、広がり、作品は永遠に変わり続けます。ぜひアートの一部になって、変化を楽しんでみてくださいね。

自立しつつも呼応する生命と呼応する大杉森

続いて大杉の森へ。光の卵形体は、風で揺れたり手で押したりすると色を変化させ、その色特有の音色を響かせます。周りの個体や木々も次々と呼応し、辺り一面の色が変わっていく光景はとても幻想的!

深い森の奥から光と音が押し寄せてくるときに感じるのが、向こう側にいる人間の存在。他者が自分に影響を与えていることを体感すると同時に、ホッとするような感覚に包まれます。

増殖する生命の倒木 - 次郎杉

こちらは1964年の大型台風で倒れた「次郎杉」を用いた作品。その朽ちた幹の内側に、花が次々と咲いては散っていきます。1時間で四季が移り変わり、無数の花が生と死を繰り返す様子は、時間を忘れてしまう美しさです。

大木が倒れるまでの歳月と、時が止まってしまったかのような現在の姿、そして命を永遠に繰り返す花。さまざまな時空が重なり合う空間で、長い時間をかけて続いてきた生命の上に「今ここにいる自分」が存在していることを実感できます。

増殖する生命の巨木 - 太郎杉

「次郎杉」のすぐ近くには、偕楽園随一の巨木「太郎杉」があります。こちらも「次郎杉」と同じく花の誕生と死が繰り返されるアート。樹齢約800年、高さ25m、幹周り約5.7mの大木に、色鮮やかな四季の花々が生まれて散る光景は迫力満点です!

どの作品もあらかじめ記録された映像を再生しているのではなく、コンピュータープログラムで新たに描かれ、変化していくので、二度と同じものは見られません。今この瞬間の景色をしっかり目に焼き付けてくださいね。

吐玉泉の円相

その先には、「吐玉泉(とぎょくせん)」を使った作品があります。地形の高低差を利用した湧水泉で、大理石の井筒から湧く水は眼病によい聖水とされています。

白い光で描かれているのは、禅における書画の1つで「円相」と呼ばれるもの。悟りや真理、宇宙全体を一筆描きで表現しているともいわれますが、見る人の心を映し出すそうなので、「どんな風に見える?」と親子で話してみると面白いかもしれません。

Walk, Walk, Walk - 孟宗竹林

続いて孟宗竹林へと進みます。ここでは、お伽話から飛び出してきたようなキャラクターたちがお出迎え。跳びはねるウサギや荷車を押すカエル、踊りながら歩く人々などが次々と現れ、自分が別世界にやってきたかのようなワクワク感を味わえます。 

作品の元になっているのは、禅の「歩歩是道場(ここほれどうじょう)」という言葉。不思議な登場人物たちは、一歩一歩を大切に、どこまでも歩き続けます。続々と現れるキャラクターを眺めているだけで癒されるような気持ちになれますよ。お気に入りのキャラクターを見つけて一緒に歩いたり、追いかけたりするのも楽しいはず。

生命は連続する光 - 梅林

陰の世界を抜けると、約1,500本の見事な梅林が広がります。梅の木に灯された光はゆっくりと明滅し、1本1本が生きているかのよう。梅の色や美しさが引き立つように白いライトだけが使われているのも特徴です。

近くに人がいると梅の木は優しい音色を響かせ、そこから強い光が放射状に伝わっていきます。白く輝く梅林が無限に続いているような錯覚に陥る人も少なくないはず。迷うことをのんびり楽しみつつ、きらめく梅を堪能しながら出口を探してみてください。

チームラボメンバーによるおすすめポイントを紹介!

「豊かな自然と歴史を持つ偕楽園の美しい庭全体を使い、陽から陰の奥地に入っていくアート展です。森の中を探索することで、そこに流れる長い時間を深く体験できると思います。また、梅以外の情報が闇に消え、無限の奥地から光がやってくると、梅の森が無限に続く回廊のように感じられるかもしれません。非日常的な世界に没入し、親子でさまよいながら、歴史と自然とアートを楽しんでほしいと思います」(代表・猪子寿之さん)

「偕楽園自体が美術館であり、自然そのものがアートですよね。そこに、例えばスポットライトを当てるとさらに木の枝ぶりが際立ち、昼間とは違う魅力が生まれます。大人はいろいろ経験しているので「〇割咲きだね」のひとことで片付けがちですが、子供は一輪だけ咲いた梅を見つけて愛でたりして、どこに感動するかわからないもの。だから1回遊んでおしまいではなく、できれば親子で何度か足を運んだり、梅まつりと光の祭を両方見たりして、変化を楽しんでみてください」(コミュニケーションディレクター・工藤岳さん)

「偕楽園」「弘道館」周辺で打ち上げ花火も!

梅まつり期間中の毎週土曜には、偕楽園周辺で「偕楽園歓迎花火」が、弘道館と水戸城跡周辺で「夜梅花火〜春魁の花火〜」が打ち上げられます。開催日は、以下の全6回。数分間の打ち上げ花火が楽しめ、YouTubeでもライブ配信されます。

■偕楽園歓迎花火
会場:偕楽園周辺
打ち上げ日:3月6日(土)、13日(土)、20日(土・祝)
開催時間:19:00〜19:15
※荒天時は翌日に順延

■夜梅花火〜春魁の花火〜
会場:弘道館及び水戸城跡周辺
打ち上げ日:3月6日(土)、13日(土)
開催時間:20:50〜20:55
※荒天時は中止

(社)水戸観光コンベンション協会公式サイト

周辺にも親子向けスポットが充実!

「偕楽園」の周辺には、森の中に16種の遊具を設置した遊び場「少年の森」や、水辺の多様な生き物と出会える「千波湖(せんばこ)」など、自然豊かなスポットがいっぱい!

「茨城県立歴史館」をはじめ、徳川家ゆかりの史料を所蔵する「徳川ミュージアム」、徳川光圀と斉昭を祀る「常磐(ときわ)神社」など、水戸の歴史を体感できる施設も徒歩圏内にあります。1日中遊べるのはもちろん、泊りがけで満喫するのもおすすめですよ!

周辺のおでかけスポットをチェック!「いこーよ」ユーザの体験記を読む!

「偕楽園」へのアクセスは?

偕楽園へのアクセスは、JR常磐線の水戸駅北口からバスで約20分です。

梅まつり開催期間中は、土日祝日のみ「偕楽園臨時駅」が開設され、9時20分〜15時20分頃までJR常磐線下り線の一部が停車します。昼間から梅見を楽しむ場合は利用すると便利でしょう。

満開の梅と光が競演する、幻想的なアート展。親子の心に残る感動的な景色がたくさん待っていますよ!

■「チームラボ 偕楽園 光の祭」開催概要
会場:偕楽園(茨城県水戸市常磐町1丁目)
会期:2021年3月1日(月)〜3月31日(水)
時間:18:00〜20:30(最終入場20:00)
料金:大人1,500円、中高校生800円、小学生以下無料
※偕楽園の入園料(大人300円、小人150円、満70歳以上150円)別途必要
注意事項:
・会場内には階段や段差、未舗装の場所があります。車椅子、ベビーカー等での観覧ができないエリアがあります
・梅まつりから来園する場合、一度退園して18時以降に再入場する必要があります(別途、下記入場料が必要)
・悪天候等の場合は開催を中止する場合があります
・緊急事態宣言中の地域在住の人は入園できません

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■第125回「水戸の梅まつり」
会期:2021年3月1日(月)〜2021年3月21日(日)
会場:偕楽園(水戸市常磐町1-3-3)、弘道館(水戸市三の丸1-6-29)
開園時間:
【偕楽園】6:00〜17:00 【弘道館】9:00〜17:00
料金:
【偕楽園】大人300円、小人150円(好文亭観覧料は別途)
【弘道館】大人400円、小人200円
※催事により開館時間・料金を変更する場合があります
※新型コロナウイルス感染症の状況等によって行事等を変更、または中止する場合があります

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