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新種の角竜命名! 「恐竜博2023 大阪会場」で実物化石を展示中

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国立科学博物館の研究グループにより、これまで「ケラトプス科の未記載種」として展示されていた恐竜が、新種の角竜であることが判明! 日本時間の2023年8月12日(土)に、研究結果が「Cretaceous Research誌」で公開されました。

新属新種として命名された「フルカトケラトプス・エルキダンス」の実物化石は、2023年9月24日(日)まで、大阪市立自然史博物館(大阪市住吉区)で開催中の特別展「恐竜博2023」にて展示されています。

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新種の角竜「フルカトケラトプス・エルキダンス」

角竜は、トリケラトプスなどに代表される植物食恐竜の仲間です。特に白亜紀の終わり頃には特徴的な角やフリルを発達させた多種多様な角竜が出現し、白亜紀末の小惑星衝突が起こるまで主要な大型植物食動物として北米や東アジアで繁栄していました。

本標本が発見された「ジュディスリバー層」(アメリカ・モンタナ州)は、19世紀に角竜の化石が世界で初めて報告された地層として知られていますが、完全度の高い化石の報告は意外に少ない地層です。

国立科学博物館は、2012年にジュディスリバー層で見つかった例外的に完全度が高く保存状態の良い標本(標本番号:NSM PV 24660)を2018年に入手し、これまで研究を進めてきました。

今回、本標本には角や吻部に既知の種とは異なる固有の特徴が認められたことから、このたび新種として記載を行いました。

研究で判明したこと&今後の研究計画

本標本では、以下の4つの点が研究により判明しています。
【1】角竜の新種であること
【2】推定年齢3歳未満の若い個体(亜成体)であること
【3】後期白亜紀のジュディスリバー層の恐竜の多様性を解明するうえで重要な化石であること
【4】角竜の骨の形態を詳細に調べられる重要な標本であること

フルカトケラトプスと近縁種の頭骨を比較すると、フルカトケラトプスでは、目の上の角芯(目の上の角を支える骨)が根元から大きく前方へ伸び、やや内側に曲がっています。

また、鼻骨の一部が前上顎骨に外側から被さるようになっているなどの特徴(青い三角で示した部位)から、新種であると考えられます。

本標本では、上腕骨や脛骨などで共通して2本の成長停止線が認められました。そのことから、2〜3歳で死んだ個体だと考えられます。

本標本は保存状態が良いうえに多くの部位が見つかっており、これまでほかの角竜でもあまり研究されていなかった骨についても詳しく調べることができます。

たとえば、上顎のクチバシを支える角竜特有の骨「吻骨」や、フリルの縁の小さな骨の特徴まで詳しく調べることができるため、今後の研究が期待されています。

今後は、国内外の恐竜研究者と協力し、近縁種との比較をさらに進めるとともに、ジュディスリバー層の恐竜の多様性とその変遷、マイクロCTスキャンなども活用して、クチバシや顎、三半規管などの内部構造や神経血管系などの特徴に関して研究を進めていく予定です。

さらに、本標本の発掘地でも追加の調査が予定されており、同じ場所から発見された角竜以外の化石についても、現在研究が進められています。

「恐竜博2023 大阪会場」で実物化石を展示中

新種であるだけでなく、今後の研究計画にも重要な可能性を持つ本標本。実物を見られる「恐竜博2023 大阪会場」は、2023年9月24日(日)まで開催されているので、この機会にぜひ、親子で足を運んでみてくださいね!

※東京会場(国立科学博物館)は閉幕しました。(会期:2023年3月14日(火)〜6月18日(日))

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■「恐竜博2023 大阪会場」概要
会期:2023年7月7日(金)〜9月24日(日)
会場:大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(花と緑と自然の情報センター2階)

【標本の基本データ】
標本番号:NSM PV 24660
分類:鳥盤類 新鳥盤類 周飾頭類 角竜類 ケラトプス科
学名:Furcatoceratops elucidans (フルカトケラトプス・エルキダンス)
属名の意味:フォーク状の角のある顔(目の上の角が二股フォークのように伸びていることから)
種小名の意味:光を当てるもの(研究例の乏しい骨の形態をも明らかにする標本であることから)
産地:アメリカ・モンタナ州 ウィニフレッド近郊
地層:ジュディスリバー層 コールリッジ部層
時代:後期白亜紀 カンパニアン(今から約7560万年前)
全長:約3.5メートル(亜成体)

【発表論文】
表題:Furcatoceratops elucidans, a new centrosaurine (Ornithischia: Ceratopsidae) from the upper Campanian Judith River Formation, Montana, USA.
著者:石川 弘樹、對比地 孝亘、真鍋 真
掲載誌:Cretaceous Research
※本研究は、標本調査の一部に関して東京大学・理学系研究科大学院学生国際派遣プログラム(2018年度、2019年度)の支援を受けています

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