水温が上がる夏場は「釣り」に絶好のシーズン。とはいえ、どこに行って、どうやって始めたらいいかわからない…というパパママも多いはず。そこで、親子で釣りを楽しむコツや、釣れるスポット、子どもの釣りデビューにおすすめの魚なども専門家に伺いました。
親子の釣りデビューは海よりも「釣り堀」がおすすめ!
お話をお聞きしたのは、親子の釣り入門書『釣りに行こうよ!』の著者である加藤康一さん。親子で釣りをする魅力はどこにあるのでしょうか?
「釣りを通じて、子どものうちから生き物にふれあう経験ができることが一番の魅力だと思います。初めて魚がハリに掛かると、大きさからは想像していなかった強い力で竿を引っ張られてビックリするはず。釣った魚を食べることも、命について学ぶきっかけになるのではないでしょうか」
釣りと言えば海で魚を釣るイメージがありますが、加藤さん曰く、子どもの釣りデビューに海はあまり適していないのだとか。
「自宅のそばに海があるなら、海釣りもいいと思います。ですが、魚が釣り場のちかくにやって来なければ、まったく釣れないこともあるんです。当たり前のことですが、釣りは『釣れるからおもしろい』。ですから、釣りを始めたその日に『釣れた!』を味わってもらうためにも、釣り堀から始めることをおすすめします。釣り堀なら竿や網を貸してくれるので、道具を買いそろえる手間もかかりません。安全性が高いことも利点ですね」
ザリガニ、コイ…釣りデビューにぴったりの生き物たち
釣り堀なら釣れやすいと言われても、釣り自体が初めてだと不安もあるもの。夏休みに釣りデビューをする場合に、おすすめの生き物はなんでしょう?
「夏は水温が上がるため、温かい水を好む魚が釣れやすくなります。小さいお子さんには、釣り針がいらないザリガニが人気ですね。針を使えるようになれば、キンギョやニジマス、コイなども釣れるようになります。ただし、ニジマスだけは冷たい水を好むため、猛暑の都心よりも、涼しい山あいの釣り堀がおすすめです」
生き物ごとに釣るためのポイントや注意点を聞きました。
ザリガニ
竿がなくても釣り堀に行かなくても楽しめるのがザリガニ釣り。アメリカザリガニは水田や沼、公園の池など幅広く生息しています。
「ザリガニは木の棒に糸を結んでエサを垂らせば簡単に釣ることができます。最大のコツは、まずザリガニを見つけること。エサはにおいが強いスルメや煮干しを使うのが一般的ですね」
ただ、公園の池でザリガニを釣る場合は注意が必要です。
「公園のなかには、動植物の捕獲を禁止しているところもあります。事前にネットなどで確認しておくと安心です。その一方で、ザリガニ釣りイベントなどを行なっているところもあるので、こうした機会に体験するのもいいでしょう」
キンギョ
出店の金魚すくいでお馴染みのキンギョも釣り堀では人気の魚のひとつ。大きい魚を怖がる子どもでも、キンギョなら大丈夫でしょう。
「キンギョは体の割に口が小さく、エサをくわえた時の『アタリ』が弱いので、意外と釣るのが難しい魚です。ただ、釣り堀でたくさんのキンギョが泳いでいるのを見るのは、子供にとってはそれだけでも楽しいですよね。大人が釣り糸を垂らし、キンギョがかかったら子どもに竿を渡して、釣り上げるところだけ体験させてもいいのではないでしょうか」
コイ
自然の川では釣るのが難しいコイですが、釣り堀ではポピュラーな存在。時間単位で料金が設定されていることが多く、1〜2時間ほどの短時間でも十分楽しめるそう。
「コイはアタリが強いので、釣り堀ならキンギョよりもむしろ釣りやすいといえます。30〜40cmくらいの大きさが一般的ですが、なかには70cmクラスの大物が放流されていることも。『大きいのが釣れた!』という驚きと感動は、子どもの記憶に鮮明に残るはずです」
ニジマス
冷たくて清らかな水を好むニジマス。山間部に多い「管理釣り場」では、川を区切ってニジマスを放流しており、釣り具を借りることも可能です。
「ニジマスは泳ぎ回って積極的にエサを捕るので、とても釣りやすい魚です。川の流れに合わせてウキを流したり、岩陰を狙ってエサを投入したり、釣り方を工夫するのも楽しいですよ。食べて美味しいのも、この魚の魅力。なかにはその場でさばいてくれる釣り堀もあります」
ニジマス釣りに出かける際は、虫除けスプレーや長袖の上着など、虫対策は欠かさないようにしましょう。日差し対策のための帽子や日焼け止め、足場の悪い釣り場を歩くための運動靴なども忘れずに。
釣りデビューにおすすめの釣りスポットを紹介!
このように、釣りやすい魚や道具をレンタルできる釣り場を選べば、釣りデビューは難しいものではありません。ただし、釣り堀によっては、大人の常連客が多く子どもの対応に不慣れなところもあるそう。「事前に電話をかけて『初心者や子どもが行っても大丈夫か』と聞いてみると安心です」とのこと。特に都内近郊でおすすめの釣りスポットを教えてもらいました。
あらかわ遊園(東京都)
「昔ながらの遊園地のなかに『魚つり広場』があります。キンギョ、コイ釣りは4歳から可能。スタッフのおじさんたちはベテラン揃いなので、なんでも教えてくれますよ」
品川フィッシングガーデン(東京都)
「品川駅から徒歩3分の場所とアクセスは抜群です。屋外プールだった場所を改築した釣り堀でコイが釣れます。屋根のある場所もあり、雨の日でも安心です」
フィッシュランド丸宮(千葉県)
「コイ釣りのほか、金魚すくいやザリガニ釣りも楽しめる室内釣り堀です。気候や天候を気にせず釣りが楽しめますよ。釣った魚から1匹を持ち帰れる『MIX池』もあります」
釣パラダイス(千葉県)
「池がたくさんあり、ニジマス(冬期のみ)やブラックバス、タナゴなど、さまざまな釣りができます。コイは放流している量が多く、個人的には関東一釣りやすいのではないでしょうか」
草柳園 フィッシングセンター(神奈川県)
「キンギョ、コイ、ニジマスのエサ釣りに加え、チョウザメのエサやりなども可能。釣ったニジマスは食堂で調理してもらって食べることもできます」
最後に、子どもと釣りをするときの心構えを加藤さんから聞きました。
「親子で釣りをすると、大人の方が夢中になってしまうことがあるのですが、大人がお手本を見せるのは最初の1匹くらいにして、あとは子どものサポートに徹しましょう。子どもが釣る様子をパパママで応援したりして、家族の思い出をたくさん作ってくださいね」
釣りは生き物とふれあい、家族の絆を深める絶好のチャンス。この夏は親子で釣りデビューをしてみてはいかがでしょうか。
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