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深海魚・深海生物を水族館で楽しむ方法! 専門スタッフが解説!

もくじ

水族館は、魚や生き物の普段見られない生態や暮らしぶりがたくさん見られる場所です。また、謎多き貴重な生き物の「深海魚・深海生物」が見られるのも水族館ならでは。最近では、標本の展示や企画展の開催など、深海魚・深海生物の魅力が発見できる催しも増えています。
そこで今回は、深海魚・深海生物に精通した「新江ノ島水族館」「沼津港深海水族館」のスタッフに話を伺い、基礎知識から飼育方法、生物紹介、素朴な疑問まで、水族館で深海魚・深海生物を楽しむコツをたっぷり紹介します!

深海ってどんな世界?

そもそも深海とは、どんなところを指すのでしょうか。一般的には、水深200m以深のほぼ太陽光が届かない暗闇の世界を指します。水温は4〜5℃と冷たく、深くなるほど高水圧になります。地球全体の海の約95%を占め、多くはまだ謎に包まれています。

深海やそこに暮らす生物の研究が日々進められているとはいえ、漁や潜航が行われているエリアは、ほんのひと握り。さらに、光が届かず光合成ができないため、特異な環境に適応した生態が多く、独自の進化を遂げているといえます。

日本の湾と深海生物の関係

深海は一体どれくらいの深さがあるのでしょうか? 日本で1番深い湾でもある駿河湾の水深は、2,500m。続いて、相模湾が約1,500m、富山湾が約1,000mで、これら3カ所が日本三大深湾とされ、深海生物・深海魚の多くが生息しているエリアになります。ちなみに世界の最深部は、マリアナ海溝チャレンジャー海淵の10,911mです。

深海の水圧はどれくらい?

深海は、深くなるほど水圧が高くなります。例えば深海1,000mでは、指先に約100kgの力がかかります。深海で暮らす生き物がすさまじい圧力の中で生活しているのかがよくわかりますね。だからこそ深海生物は、高い水圧に耐えられる特異な生態に適応、進化したと考えられます。

新江ノ島水族館の「深海I〜JAMSTECとの共同研究〜」エリアには、深海と同等の水圧をかけると物体が変形する様がよくわかるような展示があります。

深海生物・深海魚はどれくらい存在するの?

現在発見されている魚類は、全体で2万5,000〜3万種ほど。このうち約1割ほどの種が深海に生息していると言われています。また、魚類以外の深海生物に至っては、まだまだ多くの種が未確認で、その全貌は謎に包まれています

深海の広さと、深くなるにつれて高水圧になる環境が、研究などの行く手を阻み、ひいては生物発見の大きな壁になっています。とはいえ、そんな状況下でも耐えられる有人潜水調査船があります。日本が誇る「しんかい2000」や現在活躍中の「しんかい6500」です。ちなみに「しんかい2000」は数々の功績を残しており、詳しくは後ほど紹介します。

深海生物・深海魚の生態は?

エサが極端に少ない環境下の深海では、多様性に富んだ深海生物が数多く存在します。いくつか代表的な特徴を紹介します。

高水圧に耐えられる体

ほぼ水分で構成されている深海魚やクラゲが多いのは、高水圧に適応しているからだと言えます。つまり、水圧を感じない体を手に入れた、ということになります。

自ら発光する性質

深海生物の中には、自ら発光する性質を持ったものも存在します。その理由は、獲物をおびきよせる、威嚇、エサを見分ける、コミュニケーションのためとされ、厳しい環境下で生きる術として進化を遂げた深海生物らしい生態と言えます。

また、海面から注ぐわずかな光により映し出される自らの「影」が捕食者に見えないようカモフラージュのために発光するものさえも! 驚くべき巧妙な生態ですね!

目が大きい個体も多い

わずかに太陽光が届く400mくらいまでは、最大限に光をキャッチできるよう大きな目をした深海魚が比較的多く存在します。人間の目には暗闇に感じても、大きな目の深海魚はわずかな光を認識できるのです。エサの少ない環境下だからこその進化と言えそうです。

深海魚が赤や黒が多いのはなぜ?

赤い魚体は、エサである甲殻類の「赤色」に起因するとされています。深海で外敵に発見されにくい赤色のエビ類が生き残り、それをエサとしてきた生物が赤くなったと考えられています。その結果、深度が増すほど赤い光の届かない深海に適応したと推測されています。

鋭い歯を持つ深海ザメ

エサが非常に少ない環境で生きるために適応した部分が、深海ザメなどの鋭い歯狙った獲物を逃がさないために、最適な歯の形状をしています。ゴブリンの異名をもつ「ミツクリザメ」や、深海ザメ「ラブカ」などの歯を見ると、非常に鋭利な歯を持っているのがわかります。


「新江ノ島水族館」スタッフに聞く! 深海の研究&展示&魅力

神奈川県藤沢市の相模湾に面した絶好のロケーションにある「新江ノ島水族館」。相模湾に生息する多様な海の生き物、幻想的な空間が人気のクラゲ展示、子どもが大好きなタッチプール、ワークショップイベントなど見どころたっぷりの水族館です。また、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構・以下、ジャムステック)と共同で深海生物に関する研究を重ね、驚きの研究結果を展示している深海エリアもあります。そこで深海に精通した学芸員の杉村誠さんに、深海生物・深海魚について詳しく話を聞いてきました。

深海生物の宝庫! 相模湾の特徴は?

新江ノ島水族館は相模湾に面していますが、深海魚や深海生物にとってどういった場所でしょうか?

相模湾は日本で2番目に深いこともあり、深海魚や深海生物が豊富です。また、地球の表面を覆う数十枚もの厚い岩盤であるプレートの境界線を要し、深さと複雑な地形が特徴的です。こうした環境があるからこそ、驚きの生態を持つシロウリガイやハオリムシ、ラブカ、ミツクリザメなどの珍しい深海生物が数多く生息しています。そのため、相模湾は海底地形や生物の研究拠点となっています。」

深海生物・深海魚はどうやって水族館にくるの?

では、深海にいる生物はどうやって捕まえるのでしょうか?

「基本的には、漁師さんの網にたまたまかかった深海生物が水族館へと運ばれてきます。海面から網を下ろしたところまでのエリアを生息域としている深海生物・深海魚が引き上げられることになり、それより深いエリアに生息している生物はなかなかお目にかかることはありません。」
「ただし新江ノ島水族館では、ジャムステックと共同で深海生物の長期飼育に関する研究を行っていて、貴重な深海生物を見ることができます世界唯一の展示となる水槽もあります。」

世界でここだけ!特許取得の化学合成生態系水槽

具体的にはどういった水槽でしょうか?

世界で唯一の展示となる特許を取得した水槽が展示されています。これはジャムステックと共同で行っている深海生物の長期飼育法に関する研究の一環で、潜水調査船でしか見られない深海底の生態環境を目の前で見られる非常に貴重な生態展示水槽です。」

「水槽内のゆらゆらと熱水が噴出するチムニー(海底にある煙突状のもの)付近には、特異な深海生物(化学合成生態系生物)である、二枚貝のシチヨウシンカイヒバリガイが生態展示されています。」

「さらに、深海底の生態系に必要不可欠な本物の鯨骨、シチヨウシンカイヒバリガイのエネルギー源である硫化水素を発生させる工夫も水槽内で見ることができます。ドッグフードを腐らせて硫化水素を発生させて深海底を再現しているんです。」

本物の有人潜水調査船「しんかい2000」の展示

深海を探索する潜水艇の展示もあるようですが、どういったものでしょうか?

「もともとジャムステックの機械整備場で大切に保管されていた有人潜水調査船『しんかい2000』を、これまでの軌跡とともに展示しています。しんかい2000は、日本初の本格的な有人潜水調査船で、現在活躍中の『しんかい6500』の前身でもあります。」

「ちなみに、しんかい2000はその名の通り水深2,000mまで潜航することができます。約20年間に1,411回の潜航を経て、さまざまな深海の環境や生物の研究結果を残しました。2時間半ほどかけて2,000mの深海に到達し、海底で5〜6時間の深海調査を行います。」
※1回の最大潜航調査時間は8〜9時間ほど。

潜水艇には何人入れますか?

「定員はパイロットとコパイロット(副操縦士)、研究者の定員3人です。人が乗る部分は、水圧に耐えられるように、限りなく真円に近い形状をしています。この真球を造る際の接合部分は、人の手によって溶接されているんです。」

「深海という高水圧の環境に耐えられる耐圧殻(人が搭乗する部分)、暗闇の中でも現在地を把握するための画期的な電波システムなど、優れた技術を搭載しているのが、しんかい2000です。その高い技術が現在活躍しているしんかい6500に引き継がれています。」

※2017年8月、に一般社団法人日本機械学会より「機械遺産第87号」に認定されました。

「しんかい2000」の展示&イベントも開催!

しんかい2000の展示スペースは、腕の役割を担うマニピュレーターや掃除機のような吸引機など、実際の探索の様子がわかる臨場感あふれる展示になっています。さらに、しんかい2000の脇には、世界最大のカニと言われる本物のタカアシガニの脱皮した殻が鎮座していて、スタッフのこだわりを強く感じます。また、深海生物を観察するために実際に使用されたスーパーボールを“浮き”代わりにした手作りの「しかけ」も展示されているので、ぜひ探してみてください。

また、驚くべきは、今でもしんかい2000が定期的に整備され、ほぼ当時のままの姿を保っているということ。さらに、夏と冬には、公開整備イベントも開催しています。当時の貴重な話が聞けるなど、深海の世界をちょっぴり味わえるまたとない機会です。そのほか、船内に入ることができる貴重なイベントの開催もあるので、親子で貴重な体験が味わえます。各日程は公式サイトでチェックしてください。


新江ノ島水族館で見られる深海生物・深海魚

深海ザメ・ラブカ

深海ザメラブカの最大の特徴は、通常のサメのエラ孔が5対なのに対し6対あるということ。また歯の先が三つ又になっている点もラブカならではです。これらの特徴が古代に生息していたサメに似ていることから、「古代魚」「生きた化石」とも言われています。

ちなみに、ラブカの妊娠期間は、3年半というから驚きです。2008年4月2日に相模湾で捕獲されたラブカの標本が新江ノ島水族館で展示されています。

バクテリアと共生するゴエモンコシオリエビ/サツマハオリムシ

過酷な環境に適応したバクテリアと共生する特異な生態の深海生物も! 全身毛むくじゃらの「ゴエモンコシオリエビ」や、管のようなユニークな形状をした「サツマハオリムシ」です。

熱水噴出孔付近に生息している「サツマハオリムシ」は、口や肛門を持たず、共生するバクテリアのみからエネルギーを得ている驚くべき生態を持つ深海生物です。エサが非常に少ない環境で生き延びるために、エサの替わりとなるエネルギー源を自ら確保できる「仕組み」を熱水噴出孔で手に入れたのです。

恐ろしい生態をもつ謎多きホネクイハナムシ

息絶えたクジラが深海底に沈み、そこに密集して暮らすゴカイの仲間「ホネクイハナムシ」も特異な生態を持っています。「ゾンビワーム」というおどろおどろしい俗名を持ち、クジラの骨を溶かしてエネルギー源を得ています。一見すると「毛」のような謎多き深海生物です。深海底は、想像を絶する生態を持つ深海生物の宝庫。展示は新江ノ島水族館が唯一の展示となります。


世界初繁殖に成功したタギリカクレエビ

サツマハオリムシのように、熱水噴出域付近に生息している「タギリカクレエビ」。新江ノ島水族館では、日々の研究により、世界で初めて繁殖を成功させています! 幼生時はプランクトンとして深海を浮遊し、その後脱皮を繰り返して透明がかった赤い体のタギリカクレエビに成長します。

硫化鉄のウロコを持った希少なスケーリーフット

こちらも熱水噴出域で発見された「スケーリーフット」は、無数のウロコをまとっている不思議な形状を持った巻貝。「しんかい6500」による調査によって発見された希少な深海生物で、国内唯一の展示です。近くで見るとぎっしりつまったウロコがあり、見れば見るほど不思議な形状です。

硫化水素をエネルギーにするシロウリガイ

硫化水素をエネルギーとしている二枚貝「シロウリガイ」は湧水域に生息しています。しんかい2000により初島沖で初めて発見されました。前述のサツマハオリムシ同様、エサを食べてエネルギー源とするのではなく、自分の体に棲まわせている細菌からエネルギーを得ています。新江ノ島水族館では、シロウリガイの173日という長期飼育に成功! 2018年1月現在は、標本を見ることができます。

新江ノ島水族館で見られる主な深海生物&深海魚

【生体】タカアシガニ、ダイオウグソクムシ、オオグソクムシ、ゴエモンコシオリエビ、サツマハオリムシ、ホネクイハナムシ、シンカイヒバリガイ、ベニテグリ、クマサカガイ、オハラエビ、シンカイウリクラゲ、タギリカクレエビ、キホウボウなど

【液浸標本】ラブカ、ミツクリザメ、シロウリガイ、カイレイツノナシオハラエビ、カイコウオオソコエビ、スケーリーフット、メンダコ、バケダラ、ハリダシアシロ、クロヒウチ、ヒゲキホウボウ、アカドンコ、フジクジラ、サンゴイワシ、オキナエビなど

「深海の魅力とは?」by:新江ノ島水族館・学芸員の杉村誠さん


「沼津港深海水族館」スタッフに聞く! 唯一無二の深海特化型展示の魅力!

静岡県沼津市にある深海生物に特化した唯一無二の「沼津港深海水族館」。100種2,000匹の展示のうち、深海生物が約80種1,500匹(2018年1月現在)を占めています。なかでも水族館のシンボルでもあるシーラカンスの冷凍保存展示は有名で、希少価値もさることながら、その迫力に大人も子どもも圧倒! 
また、日本一深い駿河湾に程近い立地という恵まれた環境を最大限に生かし、さまざまな希少深海生物の展示を成功させてきたことでも知られています。毎日開催されているイベントでは、深海生物にタッチができることも!
今回は、自ら深海漁に行くこともあるという飼育長の塩崎洋隆さんにお話を伺いました。
※深海生物の種類は時期により変動します。

日本一深い湾である駿河湾の特徴は?

深海魚が多く生息すると言われている駿河湾の特徴はどういったものでしょうか。

「深海生物漁をする上で恵まれた環境を持つ駿河湾は、最深部2,500mという日本一の深さを誇ります。出港後わずか20分ほどで深海漁スポットに到着するという好アクセスは、水揚げされた深海生物にとっても迅速に飼育環境下を得られるという点で、非常に大きなメリットになります。」

急激に深くなる独特な地形を持っていることもあり、『生きている化石』の異名をもつ深海ザメのラブカ、ミツクリザメなどをはじめ、希少で多様な深海生物が生息しています。」
「ちなみに、水族館が駿河湾の目の前にあるので、前日に上がった深海生物が翌日に展示されることもあります。もちろんこれまでの深海生物の飼育経験や研究があるからこそです。」
※実際に取材当日は、前日に上がった人気深海生物「メンダコ」が展示されていました!

水族館の工夫が重ねられた水槽展示

貴重な深海生物がたくさんいますが、展示にはどのような工夫がありますか?

「水槽展示にも工夫が施されていて、浅海と深海に暮らす生き物の水槽を並べて展示し、比較できるようなエリアも。例えばエビはエビでも浅海と深海ではどんな違いがあるのか? そんな違いを見比べて見ると、新しい発見があるかもしれません。」
「また、赤色は青色よりも水に吸収されやすいという色の性質を視覚的に理解できる水槽の展示もあります。水槽の照明が赤から青へ変わると同時に、水槽内の魚の赤い色が海水と同化していく様子が確認できます。ちなみに、深海1,000mになると、当然人の目には真っ暗やみの世界ですが、わずかながら光を感じることができる深海魚もいます。」

深海生物の新種は冬場が多い!?

深海生物は冬に採集されることが多いと聞いたことがありますが、なぜでしょうか。

「そもそも漁の解禁期間が9月中旬〜5月中旬までというのがあります。そのほか、外気温とともに海水の温度が下がり、深海生物が表層まで上がってくることもあり、冬は水族館で深海生物に出会える機会が多いと言えます。」

水族館の深海生物・深海魚の展示水槽はどうなっているの?

高水圧・低水温で暮らす深海生物を飼育・展示するのは難しいと思いますが、どういった工夫をされているのでしょうか? 

「暗闇の深海で生息しているだけに、『光』の扱いには細心の注意が必要です。一気に水族館の展示水槽の環境下に置くのではなく、段階的に環境を変化させていきます。エサは30種類ほどある中から試しながら与えています。」

「さらに、照明の色を変えたり、エサを変えたりと、飼育スタッフが試行錯誤を日々行っています。残念ながら環境に馴染めず死んでしまう深海生物もいますが、解剖してエサを識別するなどして長期飼育につながるようにしています。」


水族館に新種の深海生物はいるの?

沼津港深海水族館に「新種」の深海生物はいるのでしょうか?

「当然のことながら『新種』として登録されるまでには、数々の研究・検証の必要があります。ですので、水族館で「新種」に出会えるかは約束できません。」
「ちなみに、水深300〜855mを生息域とする、新種「ナツシマチョウジャゲンゲ」が世界で初めて展示されています(2017年10月現在)。全長約15cmでウミヘビのような形状とオレンジ色の体が特徴です。隠れるように水槽内でじっとしていることが多いのですが…。深海は高水圧・低水温でエサも限られるため、なるべくエネルギーを消費しないように動きが鈍い深海生物が多いのです。」

深海生物漁ってどうやるの?

今さらですが、深海にいる生物をどうやって捕まえるのでしょうか?

「沼津港深海水族館では、船をチャーターし、底曳き網漁と言われる手法で深海生物を採集しています。その名の通り、海底まで専用の網をおろし、船で網を曳くというものです。」
「船上に引き上げられた深海生物は、個別にビニール袋に入れ、海水を10〜12℃に保ち、苦手な太陽光を遮断するためにすばやく収容します。この一連の作業をスピーディーに行うことこそが、深海生物のストレスを軽減させ、生体展示につなげる鍵となります。また、急な水圧の変化に耐えられず体が膨らんでしまった深海魚は、注射器でガスを抜くこともあります。」

古代魚とは?

古代魚の代名格ともいえる「シーラカンス」を冷凍展示していることでも有名ですが、そもそも古代魚とはどんな魚なのでしょうか?

「はるか昔から姿を変えずに生き抜いてきた魚です。代表的な古代魚は、シーラカンスを始め、ラブカ、メガマウス、ミツクリザメ、さらに『生きた化石』と言われるオウムガイ、非常に特異な生態を持ったヌタウナギなどです。」

さまざまな生物が環境に適応するために、進化を遂げてきた中で、なぜ古代魚が姿を変えずに今なお生きていられるのでしょうか。

「それは深海という環境に大きく関わっています。はるか昔、地上では5回もの絶滅危機にさらされています。ですが、深海ではその間でさえも水温や水質などの環境があまり変わらなかったと考えられています。つまり、生態自体を進化する必要がなかったといえます。」

「沼津港深海水族館」の貴重&人気で見られる深海生物・深海魚を一挙紹介!

シーラカンスの冷凍展示&はく製

「沼津港深海水族館」のシンボルでもある古代魚「シーラカンス」はく製3体に加え、内蔵が残った状態のまま冷凍展示されている2体、計5体の非常に貴重なシーラカンスが展示されています。体重75〜80kg、体長165〜170cm、大きく口を開いたその姿は迫力満点!

3億5,000万年前から生息していたという体の特徴に注目! ヨロイのような硬いウロコを持ち、10枚のヒレを持っています。ほかの魚にはない大きな特徴は、胸びれと腹びれに関節が備わっていること、また背骨を持たずパイプのような「脊柱」(せきちゅう)と言われる空洞の管が頭部から尾びれまで通っていることです。
80kgほどあるシーラカンスの体を支えるには、あまりにも強度不足なため、硬いウロコがその役割を果たしていたのではないかと考えられています。

かつてシーラカンスを食した学者が、「濡れた歯ブラシを食べているようだ」という感想を残したことから、決して「おいしい魚」ではなかったようです。
沼津深海水族館では、海の中を悠々と泳ぐシーラカンスの映像を見ることもできるので、ぜひその貴重な姿を親子で見てはいかがでしょうか? 
また、こうしたシーラカンスの生態にまつわる貴重な話が聞けるイベントも開催しています。「シーラカンスの脳はじつは…」など大人も子どもも夢中になりそうですね!


驚きの生態をもつ古代魚ヌタウナギ

奇妙なうなぎのようなスタイルのヌタウナギは、はるか昔から生息している古代魚です。あごがない無顎類に分類され、目は退化、口は頭部の下側についています。
一筆書きで描けそうなヌタウナギの最大の特徴は、危険を察知すると液体(ヌタ)を出すことです。海水に触れると、この液体が化学反応を起こして、敵を窒息させるほどネバネバの物質に変化します。
じつは秋田県や韓国では食用にされていたり、革製品の材料として利用されていたり、さまざまな場面で大活躍しています。

ちなみに、ヌタウナギの卵は、つながったソーセージのような形状をしています。1番目、2番目、3番目…と、先頭から順に孵化していくそうです。意外に几帳面なんですね…。

深海生物のアイドル!?メンダコ

沼津港深海水族館でも人気の深海生物「メンダコ」です。特異で愛くるしい姿をモチーフにしたグッズが販売されるなど、子どもはもちろん大人にもファンが多い深海生物です。水深200〜600mに生息する「メンダコ」は、驚くほど柔らかい体を持ち、映画に出てくるUFOのような円盤型が特徴。深海では見えないので、通常のタコのように墨を吐くことはありません。また、強い光に弱く、音に敏感で水流が弱い場所を好みます

耳のように見える突起部分は、遊泳時の舵取りの役割を担っている「ヒレ」です。また、吸盤は通常のタコが2列なのに対して、メンダコは1列に配置されており、列がばらばらなのがオス、きれいに配置されているのがメスだそう。また独特の匂いを放つのもメンダコの大きな特徴です。
傷をつけないように捕獲するのが至難の業で、生きたまま展示されることは非常に稀です。繊細だとされている「メンダコ」の飼育は困難を極める中、同水族館では、52日間の長期飼育を成功させています。ちなみにエサはサクラエビを食べているそうです。


キモカワで人気! ダイオウグソクムシ

巨大なダンゴムシのような姿で、海の掃除屋と言われるキモカワと人気の「ダイオウグソクムシ」。14本の脚と4本の触角が特徴で、水深350〜900mに生息し、最大で50cmほどに成長します。
死んだ魚などを食べるとされていますが、5年間もエサを食べなかったということでも一躍話題になりました。
体を丸くできるダンゴムシに対して、ダイオウクソグムシはある程度丸くはなりますが、完全に丸くなることはできません。ちなみに食用としても知られていますが、ダイオウグソクムシの唐揚げは、エビのような美味だそうです…。

同館の「深海実験教室」イベントで、当日上がった深海生物にさわることができることもあり、ダイオウグソクムシの仲間オオグソクムシが登場したことも! また、これら深海生物の貴重な生態が聞けるのも楽しみのひとつ。親子でワクワクとドキドキが味わえるおすすめのイベントです!

沼津港深海水族館で見られる主な深海生物&深海魚

【生体】メンダコ、アカグツ、ベニテグリ、サンゴイワシ、ホソフジクジラ、ミドリフサンコウ、ワヌケフウリュウウオ、ヤマトトックリウミグモ、ヌタウナギ、オウムガイ、サケビクニン、ダイオウクソグムシ、イズカサゴ、ユメカサゴ、チカメキントキ、ヒカリキンメダイ、キングクラブ、シロウニ、ベニカワムキ、ドフラインイソギンチャク、クマサカガイ、ダーリアイソギンチャク、ミツクリエナガチョウチンアンコウなど

【はく製】シーラカンス、ラブカ、ミツクリザメ、オンデンザメ、メンダコなど
※2017年12月現在

まとめ

深海に生息する生き物は、研究者ですらわからない謎がたくさんあり、それが魅力の一つともいえます。エサを食べずに長い間生きていたり、見るからに不思議な形状をしていたり、深海環境ならではの不思議がたくさんつまっています。新江ノ島水族館の杉村さんの言葉を借りれば「謎多き深海の世界だからこそ楽しい!」という一言につきるのではないでしょうか。ワクワクとドキドキ、+αで学べて楽しめる要素がたくさんある水族館で、ぜひ深海ワールドを体験してください!

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