全国には、運行期間の短さや本数の少なさから、なかなか見られない貴重な電車がたくさんあります。そこで今回は、最新の寝台列車や人気観光列車、引退間近と言われる往年の名車など、子どもと今見ておきたい珍しい電車・列車をピックアップして紹介します!
新幹線が見られる関東の公園はこちら鉄道・電車が満喫できる人気ホテルはこちらお召し列車(JR東日本E655系電車)
天皇・皇后陛下が乗車する「お召し列車」。JR東日本で使用しているのが「E655系」・通称「和(なごみ)」です。一般人は乗れない列車と思われがちですが、皇族や国賓が乗るための特別車両は6両編成のうちの1両のみで、それを外した5両編成がハイグレード車両として団体ツアー等に使用されています。
現役の「E655系」ではありませんが、「鉄道博物館」には過去にお召し列車として使用された車両が展示されています。
きかんしゃトーマス号
静岡県を走る大井川鐵道では、2014年から毎年、「きかんしゃトーマス」の意匠を施したSLを期間限定で運行しています。このトーマス号のベースに使われているSLは大井川鐵道が保有しているC11形227で、1942年9月に製造されたものです。2015年にはジェームス号(C56形44)が、2016年にはバスのバーティーも登場しています。
トーマス号ツアーに参加! 魅力がわかる乗車レポ!クルーズトレイン
近年、豪華な寝台特急で各地を観光しながら周遊する「クルーズトレイン」がいくつも登場し、注目を集めています。
JR各社からは、JR九州の「ななつ星in九州」、JR東日本の「トランスイート四季島(しきしま)」、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」が登場しました。いずれも高級ホテルのような設備を誇り、鉄道ファンならずとも一度は乗ってみたい列車です。
ななつ星in九州
JR九州より2013年10月15日デビュー。クルーズトレインブームのさきがけとなった列車で、「博多駅」を起点に九州を周遊します。7両の客車を専用のDF200形ディーゼル機関車で牽引する編成で、定員は30名。1号車のラウンジカーにはピアノが置かれていて、生演奏が楽しめます。
TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)
JR東日本より2017年5月1日デビュー。「上野駅」を起点に、東日本や北海道方面を周遊します。10両編成で定員34名。壁や天井に大きな窓を配置した先頭と最後尾の展望車がひときわ個性的です。非電化区間もエンジン発電機で走行できる「EDC方式」を採用しています。
TWILIGHT EXPRESS 瑞風(トワイライトエクスプレスみずかぜ)
JR西日本より2017年6月17日デビュー。「大阪駅」「京都駅」を起点に中国地方など西日本を周遊します。10両編成で定員34名。ディーゼル発電機とバッテリーからの電力でモーターを回すハイブリッド方式を採用しています。世界的にも珍しい1両で1室の「ザ・スイート」や、走行中でも車外で景色が見られる最後尾の展望デッキが大きな特徴です。
これらの列車に乗るには、各列車専用のツアーデスクか旅行会社が企画したツアーに申し込む必要があり、中学生以上という年齢制限もあります。運行期間もかぎられるので気軽には乗れない列車ですが、公式サイトで運行スケジュールが公開されているので、走っているところが見たいときはチェック!
THE ROYAL EXPRESS(ザ ロイヤルエクスプレス)
2017年7月21日にデビューした伊豆急行の観光列車が「THE ROYAL EXPRESS(ザ ロイヤルエクスプレス)」。観光列車「アルファ・リゾート21」に使用されていた「伊豆急行2100系」を改造し、非常に豪華な内装を誇る列車です。
「横浜駅」と「下田駅」(静岡県)を結んでいて、伊豆での宿泊と観光がセットになった中学生以上で参加できる「クルーズプラン」のほかに、中学生未満もOKな片道の「食事付き乗車プラン」も用意。車内に木のボールプールや絵本図書館、ファミリーシートを備えており、親子で楽しめる列車です。
パンダくろしお『Smile アドベンチャートレイン』
2017年に発足30周年を迎えたJR西日本と2018年で開園40周年となる和歌山県のテーマパーク「アドベンチャーワールド」が記念コラボ! 京都駅・新大阪駅から「アドベンチャーワールド」最寄り駅の「白浜駅」を経由して新宮駅まで結ぶ「特急くろしお」をかわいくラッピングした「パンダくろしお『Smile アドベンチャートレイン』」が2017年8月5日から運行しています。
5頭のパンダを飼育する「アドベンチャーワールド」をイメージし、車両前部はパンダの顔をデザイン。側面にもライオンやシロクマなどの動物たちが描かれています。車内(グリーン車と女性専用席を除く)も座席の枕カバーが特製のパンダ仕様になっているので、動物好きの子どもは大喜びすること間違いなしです。
「パンダくろしお」は2019年11月頃まで運行予定。運行スケジュールは、毎日18時頃に公式サイトで翌日の予定が発表されるので、お出かけ前にご確認を。
SL大樹
2017年8月10日から東武鉄道の東武鬼怒川線「下今市駅」〜「鬼怒川温泉駅」の区間で、「SL大樹」が土日祝日を中心に運行しています。東武鉄道でSLが走るのは51年ぶりのことです。
運行しているSLはJR北海道から譲り受けたC11形207号機。「下今市駅」と「鬼怒川温泉駅」に転車台が設置されていて、SLの向きを変えるところを間近で見ることができるのもうれしいところ。
ちなみにC11形は「京都鉄道博物館」や「青梅鉄道公園」などで実物を見ることができます。
ノロッコ号
「ノロッコ号」はJR北海道が季節限定で運行する観光列車です。かつては4種類が運行していましたが、現在は4月〜10月に「釧路駅」〜「塘路駅」間を「くしろ湿原ノロッコ号」が、6月〜10月に「富良野駅」〜「美瑛駅」「旭川駅」を「富良野・美瑛ノロッコ号」が走っています。
開放的なトロッコ列車(510系・国鉄50系客車改造)と国鉄時代に開発された除雪用のディーゼル機関車の編成でゆっくりと走り、北海道の大自然を堪能できます。
A列車で行こう
JR九州では、2011年より「A列車で行こう」という一風変わった名前の列車が運行しています。これは、熊本県内の「熊本駅」と「三角駅」を結ぶ臨時特急列車で、「国鉄キハ185系気動車」2両を改造した専用車両を使用しています。
車内にバーカウンターがあるなど内外装ともに大人っぽいシックなデザインですが、風景が見られる子ども席が用意されているなど、親子で乗っても楽しめます。
運行しているのは主に週末や長期休暇期間中。2両編成のため定員も84人(全席指定)と少なめです。
カシオペア
「カシオペア」は本州と北海道を結ぶ寝台特急として1988年より運行を開始しました。専用車両の「E26系」はJR初のオール2階建て寝台客車で、ホテルのような豪華な設備が人気を博しました。
現在は、北海道新幹線の開通にともない2016年に定期運行を終了。ツアー専用の臨時列車として「上野駅」を起点に運行していて、なかなかお目にかかれない列車です。また、同じ豪華寝台列車の「トランスイート四季島」が登場したため、今後は引退する可能性もあるので、早めに見ておきたいところ。
ムーンライトながら
夏休みなどの長期休暇期間に、「東京駅」〜「大垣駅」(岐阜駅)間で運行される臨時夜行快速列車が「ムーンライトながら」です。もともとは1996年に定期列車として登場しましたが、2009年から臨時列車に変更されました。
全席指定で運行日は年間120日程度。現在使用されている「国鉄185系」は次々と引退しているため、今のうちに乗っておきたい列車です。
国鉄189系特急形電車
「国鉄189系」は、「国鉄183系」をベースに信越本線の「横川駅」〜「軽井沢駅」間の急勾配を走破するために開発された車両で、特急「あさま」「そよかぜ」として運行していました。
現在は信越本線エリアや首都圏エリアで臨時列車や団体列車として運行するのみとなっています。中央線や富士急行線で活躍していた旧あずさ色のM50編成が2018年1月25日で引退するなど、近いうちに全車両引退の可能性もある車両です。
「189系」は「鉄道博物館」や「碓氷峠鉄道文化むら」で実物を見ることができます。
今回紹介した電車は、乗るのはもちろん見るのも珍しいものばかり。引退が近い列車については現役で運行している今のうちに、ぜひ一度乗車してみてはいかがでしょうか。