今年開館60年を迎える鳥羽水族館(三重県鳥羽市)。飼育種類数は約1200種類と日本一で、展示されている生きものや展示方法もユニークなのが特徴です。
最近の深海生物ブームで注目された「ダイオウグソクムシ」(下写真)を筆頭に、奇妙で面白い生きものに出会える「へんな生きもの研究所」、漁をするネコ「スナドリネコ」がいる「奇跡の森」は、大人も夢中になれる魅力がいっぱい。どんな生きものが飼育されているのか、その楽しみ方について聞いてみました。
「へんな生きもの研究所」で出会えるユニークな生きものたち
家族そろって生きもの大好きなわが家、鳥羽水族館もお気に入りの水族館のひとつです。「日本の川」から「古代の海」、「海獣の王国」など、とにかく幅広くたくさんの種類の生きものが展示されています。中でも「へんな生きもの研究所」というゾーンがあるのをご存知ですか?
「水の中には、実にバラエティに富んだ生きものたちが存在しているんだということをお伝えしたいという想いから『へんな生きもの研究所』はスタートしています。」と、広報企画室の堀本さん。
「とても小さくて、なかなかスポットを当ててもらう機会がない生きもの、飼育が難しく、なかなか展示されないような生きもの、不思議な姿形をしているもの、面白い名前の生きものが集められています。」
5年間食べ物を食べずに生きた個体もいたという深海に暮らすダンゴムシの仲間「ダイオウグソクムシ」を筆頭に、ほかにもおかしな生きものが目白押しなんだとか。
「例えば、モジャモジャで何がなんだか分からない『テヅルモヅル』(クモヒトデの仲間)は体の中央に口があったり、500円玉ほどの大きさで透き通ったペラペラの生きものが、実はイセエビの赤ちゃんだったり。きっと色んな発見ができるはずです。水槽前に掲げられている解説プレートも要チェックポイント。生きものの魅力を、飼育係が面白おかしく分かりやすく説明していて、好評なんですよ。」
思わずツッコミをいれたくなるヘンな名前の生きものにも注目!
生きものの中には、その姿そのままが名前になっているもの多く「そのままやないかーい!」と突っ込みたくなることもしばしば。「見た目には地味でも、命名者のネーミングセンスに脱帽してしまうものが大勢います。」と堀本さん。
一見、少し大きめのヒトデの名前は「カワテブクロ」。細長い魚の名前は『ヨウジウオ』。つるんと丸いフォルムのカニは「スベスベマンジュウガニ」。“名が体を表す”ならず“体から名を付けられた”ものたちです。
これらの生きものたちは、一見地味に見えますが、どこかワンポイントとなるきれいな色や柄が入っていたりするので、じっくり見るとその魅力がわかるのだそうです。
先入観を捨ててまずは観察することで、生きものへの興味のきっかけに
「へんな生きもの研究所」は室内が少し暗く、研究所の雰囲気作りのため天井や柱の鉄筋がむき出しになっていたりするレイアウトのため、入室をためらう方もいるそう。
「まれに入室を嫌がるお子さんや、泣き出してしまうお子さんもいらっしゃいますが、一度中に入ってしまうと、見たことがない生きもののオンパレードに「これなにー? これは?」と親御さんを質問攻めにしたり、一生懸命写真を撮ったり、その奇妙な名前に笑ったりと反応は様々ですが皆さん生きものに夢中に。そんなお子さんにつられて、実は得体の知れない生きものは苦手だけど、つい見てしまう大人の方…そんなシーンにも遭遇します。まずは『見る』ことで、いろんな生きものにも興味を持つきっかけになれば嬉しいです。」
じっくり時間をかけて観察すると、いっそう面白さがわかる
水族館や動物園に行くと、まったく動かない生きものやどこにいるか分からない生きものがいて、すぐに次の生きものへと移動することがあると思います。でも、「そこに水槽がある限り、水槽の中には必ず生きものがいるのでよく観察してみて」と堀本さん。
「姿を隠していたり、背景に溶け込ませている生きものもいるし、まったく動かないわけではありません。特に小さなお子様には、変化のない水槽を見続けることは難しいかもしれませんが、ほとんど動かない生きものがうごいた瞬間に立ち会えた感動、隠れている生きものを見つけた時の喜びはなかなか味わえないと思います。じっくりよくよく観察すると、予想外の動きをする生きものもいるかも知れませんよ。」
新施設「奇跡の森」では、なんとネコまで展示
さらにこの春オープンする新しい施設「奇跡の森」には、約60種の生きものが展示され、その中でも主役は、水族館なのになんとネコ!「スナドリネコ」というネコ科の動物で、水辺で魚を獲って食べる生態から、英語では「fishing cat」と呼ばれています。
一般的にネコは水が苦手なイメージなので、「本当に水に入るの?」「どんな風に魚を獲るの?」という疑問に答えるべく、水中の様子も見える展示になっているそう。(必ずしも水辺にいる姿を見られるというわけではありません。)
また、ガラス張りになった天井の高い開放的な空間では、ヘビやカエル、ゾウガメにも会えて、時々ハリスホークというタカが飛ぶ様子が見られるかも知れないそうです。
「直接、水とは関係のない生きもののように思えますが、どの生きものも水があるところに生きている生きものたち。今までにない展示空間でそんな水辺の生きものたちと出会い、驚きを感じてもらえるようなゾーン「奇跡の森」。冒険心をかきたてるレイアウトになっていて、2015年3月21日〜4月5日のオープニングイベントでは生きものたちとふれあえる時間も。日本の水族館で初めての展示となるスナドリネコをはじめ、見たことがない生きものもきっといるはずですよ。」
館内の水槽は小さい子どもも見やすいように、生きものたちがいる床面と人が通る床面を同じ高さにして足元からガラスを張っているものも多いそうです。ベビーカーからも見やすく、生きものの大きさも感じられるとか。
色んな姿や生態の生きものたちに出会える鳥羽水族館。驚きや発見がたくさん待っていそうです。子どもたちが水槽に張り付いたら、急かさず気が済むまで付き合ってみようと思います。わが家の場合、大人が張り付いてしまうことになりそうですが。
鳥羽水族館
三重県鳥羽市鳥羽3−3−6
0599−25−2555
営業時間:9時〜17時 ※入館は閉館1時間前まで
年中無休