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体験する、触れるアートで、子どもの感性を刺激できる?

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幼い子供がいると、家族で一緒に出かけられる場所が限られますよね。興奮すると大騒ぎするし、かと思えば、すぐに飽きてぐずってしまう…。そんな子供たちを連れて美術展に出かけるなんて、当分先の話と諦めていませんか? じつは今、子供も大人も一緒になって楽しめる、ちょっと変わったアート展が開かれているんです。

子育てのなかで感じた違和感から、ユニークな作品が誕生!

現在、お台場の日本科学未来館では企画展『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』が開催されています。同展は2014年11月に始まり、2015年3月1日で終了予定だったはずが、盛況のあまり5月10日まで期間が延長されたほどの人気展覧会。

その会場を訪れると、幼い子供を連れた来場者の多さに驚かされます。しかも子供たちは、「これは美術展なのか!?」と戸惑うほどに、会場内を歓声をあげて駆け回り、作品に触れながら夢中になって遊んでいるのです。

この展覧会を主催する「チームラボ」は、プログラマやエンジニア、CGアニメーター、絵師など、多彩なクリエイターが集まり、デジタル領域を中心にアート・サイエンス・テクノロジーの境界線を曖昧にしながら活動を続けてきた“ウルトラテクノロジスト集団”。

今回の展示は、おもに大人向けにデジタルアート作品を集めた「踊る!アート展」と、子供向け作品を集めた「学ぶ!未来の遊園地」の2部構成になっています。

そのなかの「学ぶ!未来の遊園地」を統括するチームラボキッズ代表の松本明耐(あきたえ)さんは、6歳と4歳の男の子を持つ2児の父。そもそもチームラボが子供向けの展示を始めた理由のひとつには、松本さんが子育てのなかで感じた違和感があったそうです。

「僕はチームラボのメンバーとして、自分の息子にもデジタルに強い人間になって欲しいという思いがあります。でも、長男が3歳のとき、1時間くらいスマホの知育アプリをやり続けていたのを見て、これは違うと思いました。」(松本明耐さん)

松本さんはそのとき、お子さんにスマホをやめさせて一緒に公園で遊びながら、なぜ知育アプリに対して違和感を持ったのかを考えたそうです。

「要するに、スマホっていうのが強烈な個人プレイだし、指と脳しか使わないからだと思いました。結局のところ、鍛えられるのは反射神経と暗記力でしかない。『それって、知育じゃないじゃん』と。もっと、ひとりじゃなくてみんなで、体を使って遊んでほしいと考えていたことに気づいたんです。」(松本明耐さん)

『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』の口コミ

デジタル技術は、アートや遊びをどう拡張させるのか?

「学ぶ!未来の遊園地」に展示されている作品には、「お絵かき」や「積み木遊び」「ケンケンパ」など、昔ながらの遊びとデジタル技術を融合させたものが目立ちます。松本さんによると、「共創」(共に創る)というキーワードを掲げ、チームワークとクリエイティビティを発揮できる遊びを考えた結果、そこに行き着いたのだとか。

では、チームラボがこれまで培ってきたデジタル技術は、その遊びにどう活かされているのでしょうか。以下に展示作の一例を挙げてみます。

「お絵かき水族館」

子供たちが描いた海の生き物の絵がスキャンされ、大画面の海を泳ぎ回ります。画面にタッチすることでエサをやったり、魚が逃げたりといった反応があるので、会場の子供たちは嬉々として、自分が描いた絵を追いかけ回していました。

「3Dお絵かきタウン」

「お絵かき水族館」から発展した作品で、自分で描いた建物や乗り物の絵が3D映像になって街のなかに現れます。立体にしたのは、平面の絵から奥行や裏側を想像する空間把握能力を身につけて欲しいという思いがあったからだとか。

「つながる!積み木列車」

テーブルに置いた同じ色の積み木が道路や線路で結ばれ、その間を車や電車が行き来するという作品。自分だけで完結せず、ほかの子が置いた積み木ともつながってしまうので、思い通りにならない反面、知らない子とコミュニケーションを取りながらひとつの交通網をつくりあげる楽しみがあります。

「天才ケンケンパ」

床面のディスプレイに表示された色とりどりの丸、三角、四角に乗ると、音と映像にエフェクトが生じます。同じ色や形に連続して飛び乗るとより美しい映像や音が流れるため、図形や色を含めた空間を瞬時に把握し、関連性を見出す能力が養われます。

ほかにも、チームラボの公式サイトで展示作品の解説や動画が見られるので、気になった方はチェックしてみてください。

チームラボの公式サイト

チームラボが、これからの子供たちに身につけてほしいこと。

松本さんに「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」を通して子供たちにどういうことを学んでほしいかと聞くと、「答えのないことを解決することや、ルールをつくりだすことを体験してほしい」と答えてくれました。

「たとえば、お絵かき水族館の魚の絵って、実は枠からはみだしてもスキャンされるんです。体の外に手を描いたり、リボンをつけたり、コバンザメみたいなのを加えたりと、みんな自由に描いています。面白いのが、大人は、はみ出た絵を見てから凝った絵を描いたりするんですけど、朝イチでまだ水槽に魚がいないときにはみ出した絵を描き始めるのは、決まって子供なんですよね。」(松本明耐さん)

決められたルールのなかでがんばることも大事ですが、ルールそのものを変えていいんだという発想は年を取るにつれて鈍りがちなもの。これは、まだ頭のやわらかい子供のうちから遊びを通じて養われるものなのかもしれません。

「そして、一番うれしいのは展示を見て『なぜこうなっているんだろう?』と考えてもらうこと。つい先日、『なぜ、さかながきりとられておよぐんですか』って5歳の男の子から手紙が来たんです。テレビも紙に描かれた絵も、すべての画は実は点の集まりなんだ。点のあるところとないところを分けて電子のハサミで切り取っているんだよ…というようなことをうちのメンバーが回答したんですけど、わかってもらえたかな(笑)。親子でこういう会話をしてもらって、子供たちの好奇心を刺激できたら最高ですね。」(松本明耐さん)

親子で『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』に出かける際は、子供と一緒になって遊んでみることをおすすめします。自由に遊ぶことに関しては、親が子供に学ぶことの方が多いかもしれませんよ。
※3/2(月)〜3/6(金)は、作品入れ替えのため、本展覧会の開催はありません

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お話しを聞いたのは・・

チームラボ
プログラマやエンジニア、CGアニメーター、絵師など、多彩な技術者が集まる“ウルトラテクノロジスト集団”。日本科学未来館で開催中の「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」では、彼らのデジタルアートから子供向けのアトラクションまで計18作品を展示。詳細は、公式HPで公開中。
チームラボ公式サイト