海に囲まれた日本に暮らす私たちですが、海におでかけする機会は少ないという家族も多いはず。そんななか、気軽に海を感じられるスポットが水族館。子供と海について学んだり自然環境について考えたりと、楽しみながら学習できる場所としても人気があります。
そこで今回は、「いこーよ」おすすめの水族館として、神奈川県の三浦半島南西にある「京急油壺マリンパーク」をピックアップして見どころを紹介! 老朽化のため2021年9月30日(木)をもって閉館することが発表されていますが、「閉園前に遊びにいきたい!」という親子は必見です。
※記事内容は2021年4月中旬取材時のものです。
※閉館までの間に展示内容およびパフォーマンスの内容など、変更になる場合があります
※新型コロナウイルスの影響で、一部エリアやイベントが休止中の場合があります。また、急遽営業中止、営業時間、利用エリアなどの変更・制限が実施される場合があります
「京急油壺マリンパーク」とは?
三浦半島南西にある「京急油壺マリンパーク」は、油壺湾の入り江先端に位置し、三方が海に囲まれた自然豊かなロケーションで過ごせるとあって、親子のおでかけ先としても人気があります。1968年の開館から53年の歴史を持つスポットということで、3世代に渡って同園を訪れたことがあるファミリーもいるのではないでしょうか。
園内には400種・6,000点の生き物が飼育・展示されています。大迫力のパノラマ大水槽をはじめ、イルカやアシカのショーパフォーマンス、ペンギン・カワウソなどの食事風景が見られるイベントなど、飽きさせないコンテンツが目白押し!
また相模湾に住む生物の生態系が学べる展示など、ここでしか見られないコーナーも多数あります
屋外施設も多く、子供が楽しめる遊具や乗り物、海を見ながら家族でくつろげる芝生エリア、ドッグランスペースなどもあり、公園のようなアットホームな雰囲気が漂うのも人気の秘訣! 憩いの場として多くの人に親しまれてきました。
物語仕立てのショーイベント!
油壺マリンパークの目玉コンテンツが「いるか・あしかパフォーマンス」。会場の「ファンタジアム」は完全屋内型劇場なので、季節や天候に関わらず快適に観覧できます。
各イベントは時間が被ることがなく順番に見て回れるプログラムになっているのもうれしいところ。
いるか・あしかパフォーマンス
劇場の入口ではリアルなアシカのモニュメントが出迎えてくれました! ここから長い階段を降りていくと……。
会場に入ると、前方にプールが設置された劇場が目に飛び込んできます。客席はプールとほぼ同じ高さの最下段から上段までかなりの傾斜があり、上段からは全景が見渡せます。
ショーはストーリー仕立てになっていて、まるでミュージカルのよう! 取材当日はトレーナーとペンギンのキャラクターが和風の衣装に身を包んだ時代劇風のショーでした。
トレーナーの掛け声や音楽に合わせて4頭のバンドウイルカがジャンプしたり、アシカが刀を避けたりとダイナミックな演技を披露!
プールを縦横無尽に泳いでボールやフープを運ぶイルカたち。場面ごとに照明が暗くなったり、効果音が鳴ったりして臨場感たっぷりです!
こちらはアシカがピアノを伴奏し、イルカがコーラス隊を務めるシーンです。次々と切り替わる場面転換に25分があっという間! 「いるか・あしかパフォーマンス」は1日に3回行われていて、ペット同伴の観覧エリアもあるので、愛犬と一緒に楽しむこともできますよ。
※パフォーマンスの回数は時季により変更あり
魚のパフォーマンス
水族館コーナー「魚の国」の1階ホールでは、1日に3回、約10分間の魚のパフォーマンスが行われています。
※パフォーマンスの回数は時季により変更あり
「魚の学校の授業風景」をテーマに、イシダイを生徒、デンキウナギを校長先生に見立てて、登下校から算数、国語、体育の授業を受ける様子がコミカルに展開されます。
主に光を使った訓練がされていて、魚がもつ鋭敏な感覚を利用したユニークなショーが楽しめます。なかなか問題が解けないイシダイに「がんばれー」「ソッチじゃないよ!」と声援を送る子供たちが微笑ましかったです!
水槽には多彩な生き物&巨大な剥製も!
水族館「魚の国」には30槽が並び、「昔のままの姿で」「相模の海から」「姿や形を変えて」「海の遊歩道」の4つのテーマで、さまざまな海の生き物が展示されています。
熱帯魚からクラゲまで多彩な水槽展示
潜水艦のような丸い窓が並ぶ「海の遊歩道コーナー」の水槽では、ディズニー映画「ファインディング・ニモ」で一躍有名になった「カクレクマノミ」などの熱帯魚が多く展示されています。
(写真左上)49年も飼育されているシロチョウザメは同園の最年長! (写真右上)縦に伸びたヒレを持つナンヨウツバメウオ。奥はタテジマキンチャクダイ。(写真左下)おちょぼ口が愛らしいカワハギ。(写真右下)ミノカサゴの美しいヒレには毒があり、毒棘(トゲ)を立てて威嚇します。
「港内の生き物」と題し、実際に工場が並ぶ湾の様子を再現した水槽。クロダイやシロメバルなどのリアルな生息環境を展示しています。
取材時(2021年4月中旬)は「海中さくらまつり」と題して、鮮やかなサクラダイが展示されていました。
2021年5月末時点では、サンゴの仲間を展示。一見するとふよふよとしたやわらかいイソギンチャクのようですが、硬い骨格を持っています。
※閉館までの間に展示内容およびパフォーマンスの内容など、変更になる場合があります
クラゲコーナーでは、写真の「アマクサクラゲ」のほか、「ミズクラゲ」や「サカサクラゲ」などを展示。八角形の水槽など、多種多様な展示方法が楽しめます。
幻想的なパノラマビューの回遊水槽
「魚の国」は一部が2階建てになっていて、2階には周囲78.5mある「回遊水槽」があります。水量750トンにもおよぶ水槽で、約50種・2000点以上の生き物が悠々と泳いでいます
回遊水槽でひときわ目立っていたのが3種のサメです。顔の一部が突起した「ノコギリエイ」や、ずんぐりとした形の「レモンザメ」など、個性的な種類がそろいますが、なかでも獰猛な「オオメジロザメ」は、本州の水族館では「京急油壺マリンパーク」でしか見られません!
※サメの種類は変更になる場合あり
巨大ザメやダイオウイカの剥製展示
回遊水槽と1階をつなぐ吹き抜けからは、大きく口を開けた全長5.7mの「メガマウスザメ」の剥製が来場者を見下ろします! 骨や臓器、眼球の標本も展示されていて、学術解剖のドキュメンタリー映像やイラスト解説を交えて観ることで、貴重な「古代種」の生態を学べます。
ほかに「ミツクリザメ」や「オオワニザメ」などの標本も展示されています。なかなかの迫力です。
こちらは2014年9月から展示されている「ダイオウイカ」のホルマリン漬け。横須賀市の走水漁港で捕獲されたもので、全長4.38m、触腕だけで3mを超える姿は圧巻です。
特別展示&フォトスポットも見逃せない!
定期的に入れ替わる特別展示コーナー。取材時は「タイドプールの生き物たち」と題して、イシガニ、ヒトデ、アカナマコなどの磯の生き物を展示していました。潮の満ち引きの再現や、ムラサキウニやイソギンチャクの生態実験も。
(写真左)熱帯魚が泳ぐ水槽フレームでは、自分が深海にいるような不思議な写真が撮れます。(写真右)「魚の国」の入口にあるムカシオオホホジロザメの(顎歯)の復元模型とともに、同園屈指のフォトスポットです。
絶滅危惧種を保護「みうら自然館」
「みうら自然館」は、神奈川県の絶滅危惧種の保護を目的に、2009年3月にオープンした展示室です。17種500点の生物が保護・展示されており、絶滅危惧の度合いや分布図などもあわせて紹介されています。近隣の小学校と協力して保護・繁殖活動にも取り組んでいるそうですよ。
みうら自然館ではアカハライモリ(写真)、トウキョウサンショウウオ、ニホンイシガメ、トウキョウダルマガエルといった、魚とは異なる魅力を持った生き物が観察できます。
かわいい動物たちのもぐもぐタイム!
ペンギン、カワウソ、アシカ、魚などの食事シーンが見られる「お食事タイム」や「魚の餌付けガイド」も人気。スタッフが生態や特徴などもわかりやすく教えてくれるのも楽しいポイントです。
イベントが終わると同時に、次のイベントの場所や時間をアナウンスしてくれるので、しっかりチェックしておきましょう。
ペンギンのお食事タイム
施設中央にある「ペンギン島」では、黄色い飾り羽(冠羽)がトレードマークのキタイワトビペンギンが観察できます。同園は日本で初めて繁殖に成功した第一人者で、現在は3世代目! 計37羽以上が飼育されています。
なお、イワトビペンギンは生息地域によって分類され、「キタ」のほかに「ミナミ」や「ヒガシ」も存在します。なかでもキタイワトビペンギンは飾り羽(冠羽)が長いのが特徴です。
アジやシシャモなどを頭からスルッと丸飲みするペンギンならではの食べ方は、一見の価値あり! イルカのように素早く泳いだりジャンプしたりする「イルカ泳ぎ」が見られたらラッキーですよ。
カワウソのお食事タイム
カワウソのなかでも小型の「コツメカワウソ」は、京急油壺マリンパークを代表する人気の動物です。
コツメカワウソは四肢に水かきがあるので水泳も大得意! 器用な身のこなしが見られる水槽をスイスイ泳いだり、トンネルを俊敏に移動する様子を観察できます。
名前のとおり小さい爪が生えた手を上げて、エサ(ワカサギ)をおねだりする姿がキュート!
カニなどの甲殻類や貝などもかみ砕く鋭い歯も特徴です。少し大きな魚(アジ)も両手を使って器用に食べます。
アシカのお食事タイム
カリフォルニアアシカのミナト(オス)とマリー(メス)が暮らす「あしか島」。食事タイムでは飼育員が投げるサンマやサバを上手に口元でキャッチ!
一般的なカリフォルニアアシカは、オスが体重約300kg超、メスが約100kgと、その差は3倍もあり、体の大きさで簡単に性別を見分けられます。くつろぐミナトを横目にマリーは気持ちよさそうに泳いでいました。
魚の餌付けガイド
回遊水槽では、「魚の餌付けガイド」が1日に3回開催されています。飼育員が水族館の裏話などを交えながら、各魚の生態について解説してくれます。
飼育員の合図とともに水槽の上から降ってくるエサに魚が一斉に向かっていくシーンは圧巻! 豪快なサメの食事シーンも見応え抜群です。
※パフォーマンスの回数は時季により変更あり
アザラシのプール
屋内大海洋劇場「ファンタジアム」の隣にはゴマフアザラシ3頭(エリザベス・ピース・ゴハン)が暮らすプールがあります。
残念ながらお食事タイムはありませんが、優雅に泳ぐゴマフアザラシの表情に癒されます。
等間隔で設けられた横窓から水中の様子を見ることもできます。上から覗く場合、背が低い幼児だと柵があって見づらいのですが、ここからならママパパが抱っこしなくても見られますよ。ゴマフアザラシが近づくたびに子供は大興奮!
三崎マグロを使ったご当地グルメを堪能!
園内に入ってすぐのレストラン「Log Terrace」では、三崎港から直送される新鮮な食材を使ったまぐろ丼をはじめ、三崎まぐろラーメン、具材たっぷりのシーフードカレー、まぐろラーメンなど、さまざまな料理が味わえます。天気の良い日はテラス席で食事をするのも気持ちよくておすすめ。
レストランのイチオシは「三崎特盛丼」。全国指折りの水揚げ量を誇る三崎港のまぐろに湘南シラス、さらにイクラ、ホタテ、エビなどがたっぷり乗った豪華な逸品です。脂のノリがよく、濃厚な味わいで口の中がパラダイス!
小さな子供も食べられるキッズメニューもあるので子連れも安心です。写真は「お子さまビーフカレー」で、ほかに「お子さまランチ」もあります(各700円)。デザートのゼリー付き!
絶品デザートが食べられる軽食コーナー
ペンギン島前には、小腹が空いたときにうれしいデザートを販売する「ペンギンショップ」があります。地元産のかぼちゃを使った「パンプキンジェラート」(420円)は素材の風味が生きていて美味しかったです!
自然を満喫! 川魚やカメにエサやりも!
上流〜下流の水辺や洞窟など、自然の山をギュッと凝縮した「かわうその森」エリア。ここではホタルやカブトムシ、トンボなどの虫にも出会えるとあって子供は大はしゃぎ!
池や小川、田んぼなど、田舎の風景を切り取ったようなこの場所では、虫のほかに川魚やカエル、カメなどが生息しています。
緑のトンネルゲートをくぐるとカプセルトイを発見! 1回200円のカプセルにエサが入っていて…。
水辺に住む魚やカメにエサやりができます! また、フクロウやモモンガなど暗いところをすみかにする生き物の展示コーナー「森のどうくつ」もあります。
親子で遊べる&休める憩いの場!
園内は子供と一緒でもゆっくり回れる広さだから親子のおでかけにぴったり! ここからは遊び&絶景スポットや物作り体験、お土産コーナー、ドッグランエリアなどの情報を一挙にお届けします
乗り物遊具が楽しめる「お遊び広場」
同園の中央部は、滑り台やコイン式の遊具がある広場になっています。魚や動物鑑賞の合間にひと休みすることもできます。
レールを進む電車の乗り物(1回200円)は幼児に大人気! 懐かしのパンダ型バッテリーカーもありました
相模湾の景観に感動!
「なぎさのステージ」裏にはヤシの木に囲まれた芝生エリアが広がり、相模湾を見渡しながらテーブル席で休憩できます。
快晴時には、芝生エリアや展望台から富士山を望むことも! 双眼望遠鏡(100円)もあり、行き交う漁船など遠方まで見通せますよ。
物作り体験やショッピングなど目白押し!
園内の最奥には「すいぞくかん学園潮風校舎」があり、屋上からは園の全景を見渡すことができます。
休憩スペースになっている校舎内では物作り体験も実施しています。粘土の水槽、砂絵、オリジナルのフォトフレームなどが作れます(各650円)。所要時間は20分〜90分。チケット売り場で販売しています。
出入口の建物内にはギフトショップがあります。定番のお菓子や食べ物や食器、文房具、キーホルダーなどのアイテムがズラリ! ご当地ならではのマグロコーナーや海軍カレーなどもありました。
コツメカワウソ、イワトビペンギン、イルカなど、当園で飼育されている動物のぬいぐるみが多く、本物と同じくらいファンシー! なかでもメガマウスサメのぬいぐるみはなかなかお目にかかれませんよ。
かわいい動物がプリントされたオリジナルクッキー(写真左。600円)や、サメを立体にしたシャークスチョコレート(写真右。1,080円)など、お土産にぴったりのお菓子もたくさんありました。
出入口の建物の隣にはベビールームを完備。オムツ替え用ベッドはもちろん、調乳用の温水器やシンクもあり、ミルクも作れます。赤ちゃんを連れたママも安心ですね。荷物が多いときにはコインロッカー(小200円/大300円)を利用しましょう。
同園は、多くのエリアをペット同伴(入園料:1頭500円。要手続き)で過ごせるのも魅力で、取材時も愛犬を連れたお客さんが多く訪れていました。
すいぞくかん学園潮風校舎の裏手や屋内大海洋劇場「ファンタジアム」前にはドッグランエリア「わんわんパーク」もあり、自由に走り回らせることができます。
入場料金・営業時間・アクセス情報
「京急油壺マリンパーク」の入園料金は、大人1,800円、中学生1,300円、小学生900円、3歳以上500円、3歳以下は無料です。またペットは1頭につき500円(要手続き)となっています。
営業時間は9時〜17時で、最終入園は閉園の30分前です。
※時季により変更あり
アクセスは「京急久里浜線」終点の「三崎口駅」から「京急バス」で約15分。クルマの場合は、「横浜横須賀道路・衣笠IC」から約30分です。駐車場は約300台分のスペースが用意されています(料金1,000円)。
53年に渡り愛され続けてきた「京急油壺マリンパーク」では、長い歴史に裏打ちされた貴重な生き物がたくさんいます。この場所で見られるのも2021年9月末の閉園まで。惜しむ声もたくさんありますが、閉園の前にぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと親子の良い思い出になるはずです!