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自然観察力が身に付く、公園のガイドツアーとは?

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遠方の山や森に行かなくても、身近な公園に植生や生き物の生態を楽しく教えてくれるガイドさんがいるって知っていますか? 

1〜2時間からの「ガイドツアー」は手軽に参加できるうえ、たくさんの発見があり子どもの好奇心をくすぐる絶好の機会になりそうです。葛西臨海公園でガイドツアーを担当している中村忠昌さんにお話を聞きました。

誰でも参加できる、公園のガイドツアーとは?

公園でのガイドツアーではどんなことを行っているんですか?

「葛西臨海公園の鳥類園で、その時々に見られる野鳥や草花、昆虫などを解説しながら園内をまわります。事前の予約は必要なく、当日ふらっと参加して頂いて大丈夫。その時集まった人達で会話を楽しみながら1時間くらいかけゆっくりと歩きます。季節によって見られる生き物が変わるので、時期をおいて何度か通ってもらえると変化が実感できより楽しめますよ」。

今から約25年前に埋め立て地を造成して作られた葛西臨海公園。歳月を経て木々もしっかりと根を張り、豊かな生態系が形成されています。海を超えてやってきた渡り鳥も多数集まり、運が良ければ1日で50〜60種もの鳥が見られるそう。

公園で行なわれているガイドツアーはほとんどの場合、無料か数百円程度の費用で参加できるのもうれしいところですね。


動植物を観察する楽しさを実感できる

解説を聞きながら歩くことにより、今までの公園歩きとは違った楽しさを味わえると言います。

1:風景の一部だった動植物の存在感をより感じられる

実際に解説を聞きながら歩いてみると、ツアー参加者にとって見慣れた風景が、より生き生きと見えてくるのだとか。

「『え?あそこでのんびり泳いでる鳥って、何千キロも先の国から飛んできたの?』と、それまで風景の一部としてしか見ていなかった動植物たちが、解説を聞くことによって生き生きと存在しはじめます。実際に見たり聞いたりしながら歩くことで、意外と知らないことだらけの自然環境をより身近に感じられるようになるんですね。ツアー参加者には大人が多いですが、中には熱心に質問してくる子どもの姿もありますよ」。

2:季節による自然の変化や夜行性の生き物を観察できる

さらに、普段は見られない夜の動物達の姿や、海辺で見られる生き物たちの生態を知ることができるのも、ガイドツアーならではの体験だそうです。
「毎年夏頃に開催している“ナイトウォッチング”も子どもにおすすめ。日没後、懐中電灯を持って暗い公園の中を歩くんです。コウモリやサギの仲間など夜行性の生き物を見ることができます。普段は外に出られないような時間に公園を探検する非日常感が人気ですね。あと、春、夏、秋には渚まで出てガイドをすることもあります。貝やカニなど海辺の生き物を見つけるのも楽しいですよ」。

3:さらに自然を楽しむコツ&アイテム

解説を聞くことによって、自然への好奇心が刺激され、自然に対する観察力も養われるガイドツアーですが、小学生以下の子供だと説明に退屈してしまわないかちょっと心配です。
「小さなお子さんには、ぜひ双眼鏡や虫眼鏡、図鑑などのアイテムを持たせてあげて下さい。自分で双眼鏡を覗いたり図鑑で調べるといった“行動”をとることで、ぐっと楽しくなると思います。冬は双眼鏡で捉えやすい鴨などの水鳥が多く飛来しているので、慣れていない子どもでもじっくり眺めることができますよ」。

近くにもあるかも! ガイドツアーに参加できる主な公園はココ

ガイドによる自然歩きを開催している公園は数多くあります。また、動植物の観察だけでなく、公園を効率的にまわる方法を教えてくれる場合も。お気に入りの公園でどんなガイドツアーをやっているのか、チェックしてみるといいですね。

【ガイドツアーを行っている主な公園】

・葛西臨海公園
ガイドツアーは鳥類園のウォッチングセンターにて、毎月1回、第二日曜日の14時から開催。双眼鏡のレンタルもしてくれる。

・昭和記念公園
毎週土曜、日曜の10時〜15時に開催。ガイドデスクにて受付が必要。(受付は2時まで)ボランティアのガイドさんが付き添い、公園を案内してくれる。

・野山北・六道山公園
パークレンジャーが里山や雑木林などの見どころを紹介。江戸時代の民家を新築・復元した里山民家では定期的にイベントも開催している。

・石神井公園
地元の保護団体がボランティアで行なっている自然観察会。毎月第4日曜に開催。

・大阪府民の森
大阪府にある9つの園地で構成されている自然公園。パークレンジャーによるネイチャーガイドやクラフト指導など各園地で様々な催しを開催。

・京都府立 丹後 海と星の見える丘公園
ガイドと一緒に園内を散策しながら、森の役割や生物多様性について学ぶ。他にも森づくりプロジェクトなど様々な体験プログラムが用意されている。

・新潟県立鳥屋野潟公園
園内の旬の自然を詳しく紹介してくれる。白鳥やマガモが観察できるバードウォッチングも開催。

・山田緑地
毎月第4日曜日に森の観察会を開催。植物観察、野鳥観察、親子で観察コースの3つから好きなコースを選んでガイドと一緒にまわることができる。

※開催日時は変更になる場合もあります。各々の公園に事前にご確認下さい。

動植物の見つけ方、観察のしかたを、日頃のお散歩でも実践

ガイドツアーに参加すると、そこで学んだ動植物の見つけ方を他の場所で実践することもできます。行き慣れた近場の公園でも、双眼鏡や虫眼鏡、図鑑などのアイテムを持って歩いてみると、意外な発見があるかもしれません。

身近な場所にもたくさんの生き物がいると実感することで、子どもの心の中にも自然を大切にする気持ちが芽生えるかもしれませんね。

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お話しを聞いたのは・・

中村忠昌さん
1972年生まれ。千葉大学大学院園芸学研究科修了。NPO法人生態教育センター主任指導員。小学生の頃に父親と自宅庭につくった餌台がきっかけで野鳥の世界にはまる。2004年から葛西臨海公園鳥類園の休日スタッフ。NHKラジオ夏休み子ども科学電話相談の回答者(野鳥担当)。