毎日使う文房具。果たしてノートや鉛筆、消しゴムはいったいどんな材料でどんな工程を経ているのか気になるところ。消耗品とはいえ、日々使うものだけに使いやすいものを持っていたいですよね。いろいろな工夫が見られる文房具の工場見学へ親子で行ってみましょう。
北星鉛筆株式会社/東京都
東京スカイツリーにほど近い東京都葛飾区にある北星鉛筆株式会社にお邪魔して鉛筆製作の工場見学をレポートしてきました! 鉛筆工場は東京の地場産業のひとつで北星鉛筆株式会社がある葛飾区、隣接する江戸川区、荒川区に数多くあります。もともと北海道で日本初の鉛筆に使用する木材を作っていた流れで、場所を変え東京・葛飾区で鉛筆製作工場として「北星鉛筆」をスタートさせました。会社名の頭文字「北」は北海道からとったものなんだそう。
工場見学ではまず最初にビデオによる案内を15分ほど行ったあと、施設内にある展示スペースで鉛筆の材料やかつての商品などその歴史を学び、さらに美術館では鉛筆を作る過程で出る「おがくず」を使ったねんど「もくねんさん」や絵の具「ウッドペイント」による作品の数々を見ることができます。廃材がこうして見事に環境にも優しい「商品」としてリサイクルされています。
紙粘土で作品を作る要領で簡単に子どもでも楽しめることに加え、乾けば木材だけに非常に軽く扱いやすいのが◎色付けをすれば木で作った味のある作品に。さらに木のように削れる点もまたもくねんさんならでは! さまざまな楽しみが広がる「もくねんさん」、ファンが多いのも納得です。
お箸を持つように人さし指を優しく添えるのが正しい鉛筆の持ち方ですが、それが自然とできるよう発案された「大人のもちかた先生。」や日本文具大賞を受賞した「大人の鉛筆」など思わず手にとってしまう商品も、ここ北星鉛筆から誕生した鉛筆たち。何事も最初が肝心、子どもに鉛筆の正しい持ち方を教える前にまずは大人がお手本を。
たっぷりと鉛筆にまつわるイロハを聞いたあとは、いよいよ工場内へ! まずはスラット(板状の木材)に芯を入れのり付け。その上にさらにスラットを乗せピッタリと張り合わせます。
のり付けした鉛筆はより圧着させるために1日置きます。次に鉛筆を削る工程に。六角、丸、四角などいろいろな形に片面ずつ削ります。このときに出る大量のおがくずが「もくねんさん」や「ウッドペイント」になるというわけです。
そしてペイント工程では5回ほど塗りを重ね色付け。長さを整え刻印をすれば完成です。鉛筆ほのか、色鉛筆など1日に約10万本を生産しています。
こうして約1時間の充実の鉛筆工場見学を終えると、木製の定規をお土産としてもらえます。また希望者には1人300円で「もくねんさん」を使ったねんど体験をすることができます。よりねんどを極めたい場合は、火曜日にねんど教室も開催しているので参加してみては? 工場見学は大人400円、子ども(高校生まで)300円、電話にて事前予約が必要です。
鉛筆神社で鉛筆の供養!?
北星鉛筆株式会社では、短くなった鉛筆5本を持参すると新しい鉛筆1本と交換してくれます。しかも短くなった鉛筆は敷地内にある鉛筆の形をした鳥居がある、その名も鉛筆神社(!)できちんと供養してくれます。お世話になった鉛筆たちもここになら安心して託すことができますね。
北星鉛筆株式会社 工場見学
・住所:東京都葛飾区四つ木 1-23-11
・電話番号: 03-3693-0777
・工場見学実施日:土日祝以外毎日3回開催(10:00〜、13:00〜、15:00〜)
※教室開催時間除く
・予約方法・電話にて事前に予約
・料金:大人400円、子ども300円(高校生まで)
・所要時間:約1時間
株式会社イワコー/埼玉県
子どものみならず大人もついつい収集したくなるほど人気のさまざまな形の消しゴム。野菜、動物、和物、食品、乗り物…など多岐に渡り非常に精巧に作られているのに驚きです。そんな消しゴムたちの製作する様子を見られる、埼玉県八潮市にある株式会社イワコーの工場見学にお邪魔してきました。
工場見学の見どころはなんといっても創業者の岩沢さん自らがアテンドしてくれるという点。創業者ならではの苦労話や商品誕生秘話まで興味深い話をたくさん聞くことができます。子どもたちがとっつきやすいように「おじさんはね…」と優しく語りかけてくれる様子に子どもから大人まで聞き入っていました。
今でこそ当たり前のようにお店に並んでいるいろいろなジャンルや形の消しゴムも、初めて立体消しゴムを作った当時は全く売れなかったといいます。それでも自分を信じて続けた結果いまや国内に加え海外でもその商品たちが見られるほどの人気商品に。その精巧な消しゴムの製作工程を見にタイやドバイなど外国からの工場見学希望者も増えたそう。また外国人のお土産にも喜ばれています。
「目標をもちなさい、頑張れば叶うから」、言葉の端々にそんなメッセージが込められていました。岩沢さんが当時からずっと念頭においている言葉が「夢は寝てみるな、達成するまで文字にして毎日みる」この力強い言葉が原動力に、また実践してきたからこそ夢を現実にしてきたんですね。
今まで世に送り出してきたイワコーの消しゴムは600種を超え、その要となるのが非常に高価な「金型」といわれるもの。ひとつひとつ職人が型を製作し、そこに原料を流しこむ。全部で11機を稼動、24時間体制で製作しています。
決して安くはないコストをかけ、デザインからオリジナル品としてようやく形になったものが、イワコーの完成品を基にいとも簡単に中国で模倣されてしまう現実に頭を悩ませているものの、決して屈しないその姿勢に精神の強さと「いいものを作りたい」という誇りを感じずにはいられませんでした。
株式会社イワコーの消しゴムの特徴のひとつは「組み立てができる」という点。例えばショートケーキならスポンジ、生クリーム、いちごクリーム、いちご、ケーキの飾りなど小さなパーツで組み立てられています。こうして細かくパーツ事にわけられ、消しゴムとしての用途のほか組み立てる楽しみもあるというわけです。
ちなみにひとつひとつ製作されたパーツの組み立てには地元のママたちが内職で活躍しているそうです。
最後に1階の工場から移動し、3階の畳スペースで消しゴムの組み立てを体験することができます。取材日はショートケーキとユニコーンの組み立てを行いました。ちなみに完成品は持ち帰ることができるのでうれしい限り! リピーターが多いのもうなずけますね。
「日本の子どもたちはもちろん、世界中の子どもたちを消しゴムで笑顔にしたい」そう語ってくれた株式会社イワコーの創業者岩沢さん。工場見学を終えた子どもたちが工場内の消しゴム販売スペースで見せていたのはとびっきりの笑顔…そのステキな夢はもう叶っているかもしれませんね。
株式会社イワコー 工場見学
・住所:埼玉県八潮市大瀬184
・電話番号:048-998-5502
・工場見学実施日:毎週土曜日
※夏休みシーズンは毎日
・予約方法:要予約、電話にて予約
・料金:無料
・所要時間:約1時間
株式会社コクヨ工業滋賀/滋賀県
学生の強い味方コクヨの「キャンパスノート」。使い勝手の良さからファンも多いだけにコクヨ工業滋賀は人気工場見学のひとつ。工場見学でまずは20分ほどスライド・ビデオ解説があり、次に約30〜40分かけて工場内を見学します。
工場見学では、スタッフによる案内のもと、キャンパスノートの基になるロール状の原紙が印刷され、製本工程を経て積まれていく様子を間近で見ることができます。新旧大型機械の違いなどを見ることができるのもここならでは。
また工場から排出されるインクや紙の切れ端などを無駄なく使用し、環境保全活動への積極的な取り組みも知ることができます。
工場内の見学前には、展示コーナーでコクヨがかつて製作していた帳簿や便箋、伝票などの貴重な資料とともにその歴史をみることができます。また、びわ湖の水環境保全につながるヨシ(イネ科の草木)を活用した商品、ReEDENシリーズやその活動内容もご紹介します。
さらにキャンパスノートの糊づけ強度を検証する「体験アトラクション」も実際に体感できます。これはキャンパスノートで使用されている紙に重りを下げ、どれだけ耐えられるかというもの。結果はぜひ自分の目で確かめてみて!
コクヨ工業滋賀の人気工場見学は月に2回の開催、定員は1回につき25名。要予約、先着順になるので早めの予約がベター。工場見学実施日の2ヶ月前の10日から公式HPより予約受付開始です。工場見学の参加費は1人100円、小学生以下無料。参加費用はすべて地元びわ湖の環境保全に活用されています。
ちなみに工場見学参加者には、ノート(子どもはコクヨ文房具1点)がお土産でもらえますよ〜♪さらにここにしかない商品の販売もあるので記念にいかがでしょう?
株式会社コクヨ工業滋賀 工場見学
・住所:滋賀県愛知郡愛荘町上蚊野312
・電話番号:0749-37-8017(予約専用)
・工場見学実施日:月に2回開催
・予約方法:上記予約専用電話、もしくは公式HPの申込みフォームより
(https://www.kokuyo-shiga.co.jp/csr/kps_factorytour/)
・料金:大人100円、小学生以下無料
・所要時間:約90分