東京と神戸で「恐竜絵画」の展覧会　世界中から約150点が大集結

「恐竜」をテーマとした絵画の特別展「恐竜図鑑—失われた世界の想像／創造」が、2023年3月4日（土）〜5月14日（日）まで「兵庫県立美術館（神戸市）」で、2023年5月31日（水）〜7月22日（土）まで「上野の森美術館（東京都）」で開催されます。

恐竜の発見から間もない19世紀に描かれた復元図から、科学的根拠を基に描かれた近代の作品まで、世界各国約150点もの「パレオアート（古生物美術）」が大集結！　「図鑑で見たあの絵」も来日しますよ。

恐竜画の2大巨匠が夢の共演！

チャールズ・R・ナイト《ドリプトサウルス（飛び跳ねるラエラプス）》1897年 グアッシュ・紙 アメリカ自然史博物館、ニューヨーク Image #100205624, American Museum of Natural History Library.

恐竜展といえば化石の展示などが主流ですが、本展は恐竜絵画のみを集めた一風変わった美術展です。注目なのは、20世紀に活躍した恐竜画の2大巨匠「チャールズ・R・ナイト氏」と「ズデニェク・ブリアン氏」による作品。

もともと野生動物画家だったアメリカの「チャールズ・R・ナイト」は、生物学的知見に基づき、恐竜をいきいきとした姿で描き蘇らせました。恐竜を躍動感あふれる姿でとらえた「ドリプトサウルス（飛び跳ねるラエラプス）」は、恐竜画における記念碑的作品です。

ズデニェク・ブリアン《タルボサウルス・バタール》1970年 油彩・カンヴァス モラヴィア博物館、ブルノ （C） Jiří Hochman - www.zdenekburian.com and Fornuft Consulting s.r.o.

一方、チェコスロバキア（現チェコ共和国）で活動していた「ズデニェク・ブリアン」は、当時の化石発掘の中心地アメリカから遠く離れた場所で、直接化石を研究できる機会が限られているにもかかわらず、ヨーロッパ美術のリアリズム（写実主義）を踏まえた作品が、強い説得力を持つものとして高く評価されました。

彼らが描いた恐竜画は、その後日本の図鑑に模写されるなど、多くの日本人に親しまれていきます。本展では、この2大巨匠に加え、イギリスで活躍したイラストレーター、ニーヴ・パーカー氏の有名な恐竜画も展示。恐竜ファンなら一度は見たこと・読んだことがある恐竜図鑑の原画が一堂に会します！

想像力に富んだ19世紀の「奇妙な復元画」

近年その生態が明らかになりつつある恐竜ですが、初めて化石が発掘された19世紀頃の作品は、魚食の恐竜「イクチオサウルス」が巨大な首長竜を食べる様子が描かれるなど、現代人から見ると奇妙なものばかりでした。

そんな、限られた情報を元に太古の世界を描いた初期のアーティストたちの復元画も見どころ。彼らのイマジネーションあふれる作品から、当時の人々が抱いていた恐竜のイメージをたどってみるのも楽しそうですね。

過去から現代までの恐竜画の歴史をたどる

20世紀後半からは古代生物の研究の進展に伴い、恐竜画の世界にも新しい表現方法が次々と生まれていきました。

会場には、アメリカの「インディアナポリス子供博物館」や、恐竜王国としても親しまれている福井県の「福井県立恐竜博物館」のコレクションから、現代のアーティストたちによるバラエティ豊かな作品も展示されますよ。

日本を代表するパレオアーティスト・小田隆氏の特集では、今にも動き出しそうなほど躍動的で繊細な恐竜画が登場。CGを使わず一筆ずつていねいに描かれた肉筆画は必見です！

子供から大人まで多くの人を魅了する恐竜。その姿が見られるのも、古代のロマンに思いを馳せて恐竜絵画を描いたアーティストたちのおかげ。絵のなかに無限に広がる、失われた世界への想像の旅を、ぜひ親子で楽しんでくださいね。

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