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関東の大規模「白鳥飛来地」7選 観察しやすい公園&名所を厳選

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冬になると大陸から海を越えて日本へ飛来し、「冬の使者」とも呼ばれる白鳥(ハクチョウ)。関東エリアにも、ハクチョウが飛来してくる湖や公園などが数多く存在します。

そこで今回は、関東にあるハクチョウ飛来地のなかから、安全に観察できる環境が整っている公園や施設で、例年100羽以上が集まる有名スポットをピックアップ! 観察前に知っておきたいハクチョウの基礎知識や観察時の持ち物や注意点などもあわせて紹介していきます。

ハクチョウの基礎知識! どこから来ていつ頃見られる?

ハクチョウの特徴や生態を知っておくと、観察がさらに楽しいものになります。そこで、鳥類の研究を行う「宮城県伊豆沼・内沼 サンクチュアリセンター」の研究室長・嶋田さんに、ハクチョウがどんな鳥か教えてもらいました。

ハクチョウとは?

ハクチョウは、カモ科に属する鳥、あるいはカモ科の仲間である鳥で、真っ白な体と長い首が特徴です。美しい白い羽は成鳥の姿で、幼鳥は灰色のようなくすんだ色をしています。そのことから、童話「みにくいアヒルの子」の題材にもなっています。

湖や沼、広い川などに群れで生活し、ときには何百羽という大群になることもあります。

日本に来るハクチョウはどこから来ているの?

多くは、冬になると繁殖地である極東ロシアから日本へ飛来してきます。極東ロシアは寒い時期になると、ハクチョウのエサである植物や昆虫などが雪や氷に覆われて食物が獲れなくなるため、食べ物を求め、オホーツク海を越えて日本へやってくるのです。

ハクチョウが日本に到着する時期はいつ頃?

ハクチョウは、例年9月に極東ロシアを出発し、10月上旬に日本に到着します。その後、2月〜4月頃まで日本で過ごし、元にいた場所へと旅立っていきます。

どうして毎年決まったところに飛来してくるの?

ハクチョウが越冬するために重要な条件は、安心して休める寝ぐらと食物があることです。その両方がそろっている場所に飛来してくるので、毎年だいたい同じ土地へ戻ってきます。

また、ハクチョウは家族単位で行動しているため、親と一緒に渡ってきた経路を子供が覚えていることも、毎年決まった場所に来る理由のひとつです。

日本に飛来するハクチョウの種類は?

日本に来るハクチョウのほとんどは、「オオハクチョウ」と「コハクチョウ」です。どちらも東北地方などでよく見られ、コハクチョウは西日本まで渡ることがあります。

どちらも全身が白色でほとんど同じ見た目をして似ていますが、クチバシで見分けることができます。クチバシの先が黒く、付け根が黄色いのはどちらも同じなのですが、じっくり見てみると違いがあります。

オオハクチョウのクチバシは、黒い部分と接する黄色い部分の先端が尖った形をしています。また、黄色い部分は、くちばし全体の約半分以上を占めています。

一方、コハクチョウのクチバシは、黒い部分と接する黄色い部分の先端が丸みを帯びています。黄色い部分は、くちばし全体の半分以下です。

また、鳴き声にも違いがあります。どちらも「コホー」とよく響く声で鳴きますが、コハクチョウの声の方が少し低めです。クチバシも鳴き声も小さな違いなので、ぜひじっくりと観察してみてください。両方が飛来する場所で見比べるとわかりやすいですよ。

ハクチョウ観察におすすめの時間帯や服装・持ち物は?

続いて、ハクチョウを実際に見にいくときのポイントを確認しておきましょう。観察ルールをしっかり守って、楽しい時間を過ごしましょう!

ハクチョウ観察の時間帯や服装

ハクチョウは、日中、沼や池などの水の周りで観察できます。見にいくなら、晴れの日の昼間が最適です。寒い時期なので、厚着をする、カイロを持参するなど、防寒対策は万全に。また、ハクチョウがいる場所は公園内の水辺が多いので、歩きやすい靴や汚れてもかまわない服で行きましょう。

筆記用具を持っていって、座りながら親子でスケッチを楽しむのもおすすめです。

ハクチョウ観察時の注意点

ハクチョウを見つけたときに、大きな声を上げたり、駆け寄ったりするのはNG。刺激を与えないよう、静かにゆっくりと動くようにしましょう。また、ハクチョウが首を上げるのは、警戒している証拠です。鳥は人の視線に敏感なので、警戒させないよう離れた位置から観察しましょう。双眼鏡や望遠鏡の準備をおすすめします。

写真を撮るときは、ハクチョウにストレスがかからないよう、フラッシュをたかずになるべく遠くから撮影をしましょう。

そして、許可されている場所以外の餌付けは厳禁です。観察の際は、ハクチョウをはじめとしたすべての鳥が暮らす環境を壊さないように、飛来地ごとに決められているルールを守ることがもっとも大切です。


関東のおすすめ白鳥飛来スポット7選

それではここから、編集部おすすめの飛来スポットを紹介していきます。例年100羽以上が集まり、安全に観察できる環境が整っている公園や有名な飛来地を厳選しました。

天神山公園【茨城県坂東市】

茨城県坂東市にある自然公園「天神山公園」内の「菅生沼」(別名:上沼)には、例年11月〜2月頃にオオハクチョウとコハクチョウが300羽以上飛来します。ハクチョウと一緒に、カモやガン、サギなどの野鳥も観察できます。

朝と夜はすみかに帰ってしまうので、ハクチョウを観察できるのは日中だけ。ハクチョウをはじめとした野鳥へのエサやりは禁止されていますが、タイミングが合えば、管理人による餌付けが見られることもありますよ。

また、菅生沼はハクチョウ以外にも、沼に住む魚類や岸辺に集まる昆虫なども見られ、自然観察にぴったりです。観察するときは、設置されている柵を越えないように注意しましょう。

なお、菅生沼は茨城県坂東市と同県常総市の境界に位置している、南北に約5km伸びる細長い沼です。北側が上沼、南部が下沼と呼ばれていて、下沼の近くには「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」や、農業体験型テーマパーク「水海道あすなろの里」などがあります。ハクチョウを観察する前後で立ち寄るのもおすすめです。

「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」を詳しく見る

天神山公園

住所:茨城県坂東市神田山511
アクセス:【車】関東鉄道常総線「水海道駅」から約20分

園内の設備情報

  • トイレ:あり
  • 売店:なし
  • 休憩スペース:なし
  • 駐車場:あり
公式サイト

大塚池公園【茨城県水戸市】

茨城県水戸市の国道50号線沿いにある「大塚池公園」は、大塚池とその周辺からなる公園です。「茨城観光百選」にも選ばれるほどの美しい景色でも有名です。毎年10月中旬〜3月下旬に、たくさんのオオハクチョウとコハクチョウが飛来してきます。

ハクチョウが飛来する時期には、カモや、体が黒くハクチョウに似たコクチョウも観察できます。

池の周りは一周2.5kmの遊歩道になっていて、親子でのんびりと散策するのもおすすめです。なお、エサやりは園内全域で禁止されています。

園内には、滑り台を中心とした遊具がそろう広場もあります。また、池では釣りもできますが、水鳥保護のため、通年釣りを禁止している区域と、水鳥が増える10月15日〜翌年3月末の期間に禁止になる区域があります。釣りも楽しむ場合は、しっかりとエリアを確認しましょう。

大塚池公園

住所:茨城県水戸市大塚町1832
アクセス:【車】常磐自動車道「水戸IC」から5分
【電車】JR常磐線「赤塚駅」北口バスターミナル2番「大塚経由バス」乗車、「大塚池の端」下車すぐ

園内の設備情報

  • トイレ:あり
  • 売店:なし
  • 休憩スペース:なし
  • 駐車場:あり
公式サイト

一の関ため池親水公園【茨城県那珂市】

茨城県那珂市の中心部に位置する「一の関ため池親水公園」では、1984年からハクチョウの飛来が始まったといわれています。

毎年11月上旬〜3月中旬には、飛来してきたオオハクチョウやコハクチョウが観察できます。特に1月〜2月上旬になると、毎日50羽前後のハクチョウがため池に集まり、ため池に設置されているデッキの上からも見ることができます。

ほかにも、ハクチョウと一緒にヒドリガモやオナガガモの姿もあります。

日本庭園風の園内の一角には、茅葺屋根造りの「曲がり屋」(写真)があり、内部の見学も可能です。毎年2月頃に開催される「那珂のひなまつり」をはじめ、さまざまな催しが行われます。

公園内には、ベンチや休憩スポットもあり、家族でゆっくりと過ごすことができます。広々とした芝生広場もあるので、日差しがあるときはお弁当を持参してピクニックもおすすめです。

一の関ため池親水公園

住所:茨城県那珂市菅谷4529-1
アクセス:【車】常磐自動車道「那珂IC」から5分
【電車】JR水郡線「上菅谷駅」から徒歩10分

園内の設備情報

  • トイレ:あり
  • 売店:なし
  • 休憩スペース:あり
  • 駐車場:あり
公式サイト

白鳥の里【茨城県潮来市】

茨城県潮来市の北浦湖岸にある「白鳥の里」では、1981年に6羽のハクチョウが初飛来して以来、毎年11月下旬〜3月上旬に100羽以上のオオハクチョウやコハクチョウ、コブハクチョウが集まります。ハクチョウのほかにも、カモやユリカモメなどの水鳥も観察できます。

観察のおすすめ時間帯は、早朝と夕方です。多くのハクチョウ飛来地と違い、「白鳥の里」には柵がないので、鳥たちの姿をより間近で楽しめます。ストレスを与えないように観賞マナーを守って観察しましょう。

小さい子供がいる家庭や、ゆっくりとバードウオッチングやスケッチなどを楽しみたい親子は、湖畔沿いにある広場を利用しましょう。

白鳥の里

住所:茨城県潮来市水原514
アクセス:【車】東関東自動車道「潮来IC」から10分

施設の設備情報

  • トイレ:あり
  • 売店:なし
  • 休憩スペース:なし
  • 駐車場:あり
公式サイト

群馬県立多々良沼公園【群馬県館林市】

「群馬県立多々良沼公園」は、群馬県邑楽町と館林市にまたがる多々良沼と、そのほとりからなる自然公園です。沼の北側にある「ガバ沼エリア」には、毎年11月頃になると、200羽のコハクチョウやオオハクチョウが飛来します。1月下旬から2月上旬にかけて多くのハクチョウが集まり、2月下旬まで観察できます。

同時期にはカモも多く見られ、ヒドリガモやマガモ、カルガモなども集まります。

ハクチョウや野鳥へのエサやりは禁止されています。

沼の西側には、滑り台やブランコなどの遊具がそろう「いこいと花のエリア」、東側にはボランティアによって自然環境保全活動が行われている「自然ふれあいエリア」があります。自然観察や自然学習にもおすすめです。

群馬県立多々良沼公園

住所:群馬県邑楽郡邑楽町大字中野5582
アクセス:【車】東北自動車道「館林IC」から20分
【電車】東武伊勢崎線「多々良駅」から徒歩23分

園内の設備情報

  • トイレ: あり
  • 売店: なし
  • 休憩スペース:あり
  • 駐車場: あり
公式サイト

八丁堰(夏目の堰)【千葉県香取郡東庄町】

千葉県香取郡東庄町に位置する「八丁堰」(通称:夏目の堰)は、「東庄県民の森」に隣接する池です。

毎年11月〜2月下旬に、1,200〜1,500羽ものコハクチョウやオオハクチョウが飛来します。特に12月〜2月中旬が、最も多くのハクチョウを見られるベストシーズンです。さらに、1万羽のカモをはじめ、約10種類の野鳥も集まってきます。

なお、エサやりは禁止されています。

隣接する「東庄県民の森」には水鳥観察舎が整備されていて、バードウオッチングが楽しめます。ほかにも、広い敷地内には芝生広場や湿地植物園やBBQ場などがあり、家族で自然と親しめるスポットです。

八丁堰には駐車場がないので、車でのアクセスの場合は、「東庄県民の森」の駐車場を利用しましょう。

八丁堰(夏目の堰)

住所:千葉県香取郡東庄町
アクセス:【車】東関東自動車道「大栄IC」から40分
【電車】JR成田線「笹川駅」からタクシーで15分

施設の設備情報

  • トイレ:あり(東庄県民の森)
  • 売店:なし
  • 休憩スペース:あり
  • 駐車場:あり(東庄県民の森)
公式サイト(東庄県民の森)

本埜白鳥の郷【千葉県印西市】

※2024年12月現在、本埜白鳥の郷は諸事情により終了しています。以下の情報は過去の内容です
※飛来していたハクチョウは、印旛沼や手賀沼、茨城県の南部の湖沼、近隣の調整池に分散しているという情報があります


千葉県印西市にある「本埜白鳥の郷」は、のどかな田園風景が広がる農地です。1992年に水田に水を溜める工事をしていたところ、6羽のハクチョウが飛来したのがはじまりです。

毎年11月〜2月頃に、1,000羽前後のオオハクチョウやコハクチョウをはじめ、クチバシがほぼ黒色のアメリカコハクチョウが水田に飛来します。特に1月は、ハクチョウの数が多くなります。

ハクチョウ以外にも、たくさんのオナガガモが観察できます。

売店では、ハクチョウの絵はがきやバッジなどのグッズを販売しています。

なお、ハクチョウを含む水鳥へのエサやりはNG。犬や猫などのペットを連れだった観察も禁止されています。

本埜白鳥の郷

住所:千葉県印西市笠神
アクセス:【車】東関東自動車道「酒々井IC」から30分

施設の設備情報

  • トイレ:あり
  • 売店:あり
  • 休憩スペース:なし
  • 駐車場:なし(近隣に民間有料駐車場あり)

関東には、今回紹介した公園やスポットのほかにも、数羽から数十羽のハクチョウが集まる飛来地があります。寒い時期だけの特別なおでかけ先に、親子で足を運んでみましょう。

冬のおでかけ特集はこちら!
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