テレビ番組などでも頻繁に使われ、すっかりおなじみになったドローン。実は子どもの間でもひそかなブームとなりつつあります。そこで今回は、子ども向けのドローン体験会を数多く主催し、YouTuberとしても活躍中のササモモさん(ドローンジョプラス)に、ドローンの楽しさや子どもが安全に遊ぶためのポイントを聞きました。
多くのシーンで活躍するドローン
テレビ番組で空撮に使われたり、日本で初めてハウステンボスで夜空を舞うショーに利用されるなど、身近に感じられるようになったドローン。実は、趣味や遊びとしてドローンを始める人や子どもも増えてきています。
ササモモさんもその一人。彼女は女性だけのドローン愛好家約60人でサークルを立ち上げ、子ども向けのドローン体験会も全国150カ所で主催しています。参加人数は延べ6500人にものぼり、ドローンでの空撮は特に人気だとか。
「今まで自分の目線からは見られなかった景色を手軽に見ることができるので、本当に感動するんですよね。持っている愛用のドローンもどんどんかわいく見えて、名前をつけているメンバーの子もいますよ」
趣味や遊びのみならず、イベントや産業においても活用の場が増えていますよね。
「ドローンは難しくて危ないと思っている親御さんも少なくないですが、昨今ではエンターテインメントやスポーツ、農業、人命救助、災害、防犯、荷物配送など、多くの産業で活躍しています。昨年行われた日本郵便のドローンによる配送の実証実験は話題になりました」
新たなビジネスとしても注目されていますが、実際にやっている人はまだまだ少ないですよね。
「私たち大人の役目は、次世代を担う子どもたちがドローンに親しむ機会を作ってあげること。ロボット教育が当たり前になる時代に向けて、今のうちからドローンを体験させることは大きな一歩だと思っています」
大人と子どもで異なるドローンの遊び方と楽しみ
ドローンの楽しさは、何といっても意のままに機体を操り、空中を飛ばせること。平面だけのラジコンとは違い、上下左右を自由に動けます。画像や動画を撮影できる「空撮」も大きな特徴です。
ただ、子どもの喜ぶポイントは少し違うようです。
「大人は自由な飛行ができて空撮もできることを好みますが、子どもたちは少し違うんです。安定しない上下もままならない”トイドローン”をゲーム感覚で扱うことに目をキラキラさせます。ドローンが空中で宙返りするなど、アクロバティックな演技を子どもに見せると、すごく盛り上がりますね」
トイドローンとは、空撮や飛行速度などの性能よりも手軽に楽しむことを目的とした機体のこと。ほとんどが小型で安価、なかには40gと超軽量なものもあります。充電式のバッテリーで飛行し、1回の充電で平均5〜10分飛行できます。
知っておくべきドローンの法規制と禁止事項
手軽に遊べる機体がある一方で、守るべきルールもあるんですよね。
「航空法により重さ200g以上のドローンは、飛行禁止区域があるので注意が必要です。人口集中地区の上空は禁止区域に指定されており、都市部近郊でドローンを飛ばしたい場合は、国土交通大臣の許可を得る必要があります」
「対策としては、ドローン屋内練習施設の利用や、200g未満のいわゆるトイドローンを使って屋内で遊ぶなどが挙げられます。200g以上の機体を屋外で飛ばす場合でも、四方を囲った安全ネットを張れば屋内扱いとなり、法規制の対象外になります」
また、ドローンの動きは3次元でかつスピーディ。操縦ミスで自他ともにケガの恐れがあるため、未就学の小さな子どもは使用を禁止するのがベターといえます。
「ドローンが飛んでいると、子どもは喜んですぐに近づきたがります。手でプロペラを触ると角度によってはケガの原因になりますし、強風の際はコントロールがきかなくなる恐れがあるので、必ず大人が一緒に付き添ってあげてください。身長より高く飛ばすなどの配慮や、落下した時の危険性を考えて、ドローンが飛んでいる下には行かないよう注意しましょう」
注意事項
- ヘリコプターや飛行機との衝突
- 夜間の飛行
- お祭り、催事場での無断飛行
- 危ないものを運ぶ、落下させる
- 道路への墜落
- 家屋などの破損
- 私有地への侵入
最近では、ドローンを使って空からお菓子を撒くというお祭りのイベントで、機体が落下して子どもがケガをした事故もありました。交通ルールなどと同じように、ドローンを安全に楽しむためのルールがあることも、子どもたちに教える必要がありますね。
ドローンを飛ばすためのコツ
ドローンの操縦や上達には大人も子どもも個人差があります。まずは機体を空中の一点で静止させる「ホバリング」と呼ばれる停止飛行を練習します。それから上下左右、思い通りに操縦できることを目指していきます。
子どもは、小学校低学年なら一人で操縦の練習ができるようですが、4歳になったばかりの筆者の子どもは、大人の抱っこで一緒に操縦するだけでも大満足でした。
200g以上の機体が飛ぶときは、意外と大きな音が出ます。びっくりしてドローンを怖がってしまわないように、大人が一緒に楽しみながら子どもの気持ちに寄り添うことも、上達の秘訣かもしれませんね。
子どもにおすすめのドローンを飛ばせるスポット紹介
子どもと一緒にドローンを飛ばしてみるなら、まずは屋内の練習場を利用するのがおすすめです。ドローンの重さを気にせず練習できるうえに、屋外と違って風がないので初心者には最適な環境です。都内近郊で子どもと楽しめるドローン練習場をまとめて紹介します。
Acro+/アクロプラス
「夏休みになると子どもの利用がすごく多い屋内練習場です。安全ネットがあるので親御さんも安心なようです」
場所:埼玉県さいたま市岩槻区笹久保新田352
ドローン・サーキットSPLASH
「こどもの国駅の近くにある練習場です。親子でたくさん遊んだあとで次はドローン、と気軽にチャレンジできるスポットです」
場所: 神奈川県横浜市青葉区奈良町2057
ちなみに、おすすめの公園は特にないとのこと。最近では「ドローン禁止」の公園も少しずつ目にするようになっているそうです。ササモモさん率いるドローンジョプラスが子ども向けドローン体験会を公園で行う際には、国土交通大臣の許可を取得したり、安全ネット持参で飛行させているそうです。
プレゼントにも最適! 子ども向けドローン5選
子ども向けドローンを5つ紹介していただきました。
200g未満で空撮も楽しめるドローン
ラジオコントロール リアルライブテトラル「なんといってもお手軽! 手のひらサイズなので子どもでも安心して扱うことができ、空撮というよりは近くのものを撮影してみるなど、練習用第1号機としてもおすすめです」
■ラジオコントロール リアルライブテトラル
販売元:シー・シー・ピー
価格:12,960円
200g未満&1万円代で買える!
Ryze トイドローン Tello Powered by DJI「3月中旬頃に発売予定の最新トイドローン。1万円台で購入でき、手のひらでキャッチ&リリースも可能。さらに飛行時間は最大13分と長めです。めったに出会えないおもちゃドローンかも!」
■Ryze トイドローン Tello Powered by DJI
販売元:DJI
価格:12,800円
ジェスチャー操作できるドローン
Spark「パームコントロール機能を使うと、操縦の必要もなく、手で操作できるのが魅力的です。子どもでも操作が楽々なうえ、小さく手のひらサイズでアウトドアにも最適です」
■Spark
販売元:DJI
価格:希望小売価格
落ちても危なくないドローン
AirBlock「組み立て方次第で、無限の可能性が広がる知育ドローンです。簡単なプログラミング操作も学べ、飛行中に落下しても一旦バラバラになり、プロペラ周辺はスポンジでできているので安心です」
■AirBlock
販売元:Makeblock
価格:23,760円
ドローンレースを味わえるドローン
MAMBO FPV「同梱のゴーグルをつけるだけで、憧れのドローンレースのパイロットに早変わり! 機体は安定していて、操縦はとっても簡単、スマートフォンからでも操縦ができます」
■MAMBO FPV
販売元:Parrot
価格:23,544円
海外でのドローン事情
最後になりますが、筆者が昨年訪れた中国のハイテク都市・深センでは、自由にドローンが飛ばせます。イベントスペースの近くで気軽にドローンを楽しむ若者や、週末には公園でドローン教室が開かれ、4歳の子どもが参加している姿も目にしました。
聞けば海外では、ドローンを飛ばして速さを競うドローンレースで子どもが大金を稼ぐケースもあるのだとか。将来的には、こういった海外の子どもとグローバルでともに働き、競争し合うのかと、教育について考えさせられる体験でもありました。
これからますます普及が進んでいくドローン。ものは試しで、ぜひ家族で練習場にお出かけしてはいかがでしょうか。子どもがドローンを体験することは決して悪いことではないですよ。