毎年1月の三連休前後には、各地で「どんど焼き」が行われます。地元の神社や川原など、地域に根付いた勇壮な火祭りは、子どもたちにとって新鮮な驚きがあります。今回は、どんど焼きの概要や子どもと楽しむ方法、埼玉・神戸(兵庫)・新潟・長野の2019年の注目イベントをご紹介します。
どんど焼きとは?
「どんど焼きは全国各地で行われている小正月(1月15日)の行事です。
近年では、1月15日前後の週末に行われることも多くなってきました。
どんど焼きは全国で共通して、青竹、藁、檜の枝などで作ったお小屋・やぐらを燃やして、その火で門松や注連飾りなどの正月飾り、また書き初め、古神札や前年に飾った「だるま」などを焚きあげ、1年の農作物の豊作や漁業の大漁、商売繁盛、家族の1年の健康を願う「正月の送り火行事」として行われています。
都市部では、どんど焼きは正月飾りを燃やすための送り火行事となっていますが、地方では、まだまだ年初の大事な祭礼として、本来の意義が守られています。」(特定非営利法人 地域資料デジタル化研究会事務局長 井尻俊之さん)
どんど焼きは地域によって呼び方が違うの?
「どんど焼き」と呼ばれることが多いですが、地域によって様々な呼び方があります。
地域によるどんと焼きの呼び方
- 北陸、東海、京都…「左義長」
- 関西…「とんど焼き」
- 東北…「さいのかみ」
- 長野・山梨…「道祖神祭」
- 九州…「鬼火焚き」や「ほんけんぎょう」
- 長野…「三九郎」
- 静岡県…「さいと焼き」
上記以外でも、全国では20種以上の呼び名があるといわれています。
どんど焼きはどのように行われる行事なの?
十数回目を迎える新潟県立歴史博物館のサイノカミでは、「18メートルの高さに竹を組み、かや藁を間につめ、しめ飾りや御札、書き初めなどと一緒に炊き上げます。15〜30分ほどで、燃え上がる姿や勇壮で神々しくも見えます。やぐらの組み方にも地域性や伝統があり、山古志地区のやぐらを参考にしています。
また、子どもたちは、炊き上げた後のおき火でするめなどを焼いたりすることも楽しんでいるようです」(新潟県立博物館)
どんど焼きの一日の流れ
- やぐらを組む
- 神事を行う(行わない場合もある)
- 火入れをする
- おき火で団子・するめ・みかんなどを焼いたり、ぜんざいや雑煮などのふるまいが行われる場合も
どんど焼きは、伝統ある火祭りですが、「季節柄、どんど焼きの当日はとても寒くなります。当神社のように川原で行われる場合には、子どもには、防寒に注意してあげられるといいですね」(丸子日枝神社)
子どもと楽しむどんど焼き
「この行事の本来の主役は、子どもたちです。現在でも農村地域のどんど焼きでは、子どもたち(15歳以下の小、中学生)が年齢差や性別を超え、力を合わせて、竹を切り、わらをすぐり、柱を立てて、「どんどの小屋」を作っている所があります。この小屋作りを通じて、子どもたちは仕事には段取りがあり、みんなが力を合わせないと何事も達成できないことを体で覚えます。
また、小正月行事ではどんど焼きの前に、子どもたちが集落や自治会の各戸を回り、1年の家内安全、農業繁盛、商売繁盛を祝う「門付け」も行われています、寒い夜の道を、子どもたちは提灯(懐中電灯)を掲げて、各戸を回り、みんなの1年の幸せを祈るのです。
小正月行事の最後の仕上げが、どんど焼きです。あかあかと燃え上がる神秘的な「どんどの神火」によって、子どもたちの顔は輝いています。仲間の子どもたちとドンドの熾火(おきび)を囲んで、繭玉だんごやもち、みかんを焼いて食べるのは、なんともいえない楽しい体験です。子ども時代にこのような感動的な体験ができることは、一生の記憶となり、宝となります。
こうした感動的なイベントの演出を誰が考えたのでしょうか。小正月行事を通じて、子どもたちは、地域社会の繁栄、安全、安心、防災を担っていくのは自分たちだという、地域を愛する生活感覚を自然な形で身につけていきます。
小正月行事「どんど焼き」を現代の社会学的な用語で表現すると、「持続可能な地域社会を守るために、地域社会全体で子どもたちを大事に育てていくためのサステナビリティ・イベント」ということもできます。本当に素晴らしいイベントです」(特定非営利法人 地域資料デジタル化研究会事務局長 井尻俊之さん)
どんど焼きの言われって?
「どんどの火で焼いた団子(するめ・みかん)を食べると虫歯にならない」
「どんどの火にあたると、この一年を無病息災ですごすことができる」
「書き初めを神火で焼いて、高く上がると、習字が上手になる」
といった言い伝えもあります。
日本一のどんど焼きとは?小正月行事(「どんど焼き」の全国調査集計による)
日本一高いどんど焼きやぐらは、宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町大字鞍岡。日本一の高さを誇るのは、宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町大字鞍岡のどんど焼きです。毎年やぐらの高さでギネス記録に挑戦しており沢山の見物客が集まります。
2019年のどんど焼きイベント!
2019年も各地でどんど焼きが行われます。ぜひ一度親子で訪れてみたいですね。
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