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イルカの飼育員を体験!下田海中水族館「わくワーク」参加レポ

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下田海中水族館で開催中のこども飼育員「わくワーク」は、これまでの遊びを目的とした「イルカとのふれあい」と一線を画した、イルカの飼育員の本格的な職業体験プログラムです。通常は子どもだけでの参加ですが、今回は特別に「いこーよ」編集部が教室に潜入! 気になる内容をご紹介します。

まずはイルカについてと飼育員の仕事内容を学ぼう!

普段見ることができない、水族館の裏側を体験できる「わくワーク」。最初の「スペシャル」は本物の飼育員さんと同じデザインのユニフォームが着られることです。

ユニフォームに着替えたら、冷凍した魚を解凍してエサ作りの準備をしつつ、イルカの生態や飼育員の仕事内容について学んでいきます。

ホワイトボードに貼られたイラストを指さして「トカゲ、カエル、魚、犬、鳥…イルカはどの動物の仲間かな?」そう聞いた先生役の飼育員・浅川さんに、子どもたちが大きな声で「犬!」と答えます。

「そう、イルカは犬や人間と同じ、哺乳類ですね。実は大昔、イルカは海ではなく陸上にすんでいたのですが、エサが豊かな場所を求めて海に生活の場を移しました。このとき海に行かず陸に残った、イルカの親戚というべき動物が、カバ。形が全然違って見えるけれど、カバもイルカと同じように、水中で音波を使ったり泳いだりするのが得意なんですよ。」

その後も「クジラとイルカは何が違う?」「イルカの鼻はどこにある?」など、浅川さんのクイズ&わかりやすい解説で、楽しみながらイルカの生態について学びました。飼育員さんから直接教えてもらうことで、子どもたちもイルカの存在をグッと身近に感じることができたようです。

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イルカの飼育員のお仕事って?

続いて、飼育員の仕事内容について学びます。「イルカの飼育員の仕事は大きく3つあります」と浅川さん。

イルカの飼育員のお仕事

  1. イルカの健康管理
  2. イルカショーでお客さんを楽しませたり、イルカについて知ってもらう
  3. イルカの専門家としての活動(保護されたイルカの保護・治療など)

主な作業内容は以下の通りです。

  • 調餌(エサの準備)
  • 給餌(エサやり。水族館では「エサくれ」と呼ぶ)
  • トレーニング
  • イルカショー

「わくワーク」では約3時間のプログラムで、ショー以外の一通りのお仕事を体験できるように工夫されています。今回子どもたちが挑戦するミッションは、調餌・給餌・トレーニングです。

さぁ、最初のミッション、エサの準備に取り掛かりましょう!


ミッション1:魚を包丁で切ってエサを準備しよう

エサ作りは鮮度が大切なため、1日2回に分けて行うそう。「わくワーク」で使う道具はすべて、飼育員さんも使う本物。魚を洗ったり、包丁を使って魚をさばくのが、小さな飼育員の“お仕事”です。

今回は、夕方の給餌用として2キロのサバを用意します。解凍した魚を包丁で胸ビレの後ろと肛門の手前で切って3等分にし、水道水で綺麗に洗います。

「解凍した魚を水道水で洗うのは、魚の表面のヌルヌルに細菌やチリ・ホコリがついているから。自然界では魚を1匹丸ごと食べるけど、それだとエサの数が少なくなるので、水族館では3つに切って分けてあげています。魚の内臓は、人間が食べるときは『苦いから』と取ることが多いけれど、ビタミンなど栄養がいっぱいあるので、イルカにはそのままあげます。」

「エサは必ず冷凍した魚を使います。冷凍することでイルカに害を与える寄生虫を駆除できるし、生の魚より長期保存が効くからです。エサに使う魚の鮮度はとにかく重要! 納品前にサンプルをもらって厳しくチェックして、目が濁っていたり、エラの色が悪いものは使いません。魚のニオイも重要な判断基準です。五感を使って、しっかり鮮度をチェックします。」

このように、学びを目的とした職業体験プログラムである「わくワーク」では、作業内容の指示だけでなく、なぜそうするのか理由をわかりやすく教えてくれるので、頭でしっかり理解したうえで作業を進められます。

そして「毎日魚を触っているから、飼育員の手は魚臭い」なんていうリアルな声が聞けるのも、「わくワーク」だからこそ…!?

さて、エサの準備ができたようです。氷水とともにバケツに入れたら、入り江へ移動して、いよいよイルカにご対面です!


ミッション2:イルカにエサをあげてみよう

浅川さんによると、給餌(エサやり)はイルカを観察して体調を把握する大切な時間なのだとか。

「イルカがこちらに寄って来るときのスピードや食欲、そのほか気になった点を飼育日誌に残します。イルカには80本の歯がありますが、エサの魚を捕らえるときに使うだけで、食べるときには歯は使わずエサを丸飲みにします。」

「それじゃあ、実際にエサをあげてみましょうか!」そう浅川さんに促されて、イルカの正面に立った子どもたち。至近距離で見るイルカに最初は少しおっかなびっくりでしたが、すぐに慣れて、イルカの口に優しくエサを投げ入れていました

飼育員の仕事はルーティーンワークではない

飼育員は生き物を相手にする職業なので、仕事の内容は毎日固定とはいきません。「わくワーク」でも、病気のイルカを観察してもらうなど、その時の状況次第でプログラム内容の一部を変えることがあるそう。

今回は、8月に生まれたばかりの赤ちゃんイルカを観察して、5分間で何回呼吸するかをカウントすることに。

「みんな何回だった? 10回?12回?…正解は16回。通常20秒〜30秒に1度の呼吸なので、いいペースだね。長く潜っているときは水中でおっぱいをもらっているとき。気付けたかな?」

イルカの飼育員と聞くと、どうしてもショーの華やかなイメージが先行しがちですが、一番大切な仕事は、イルカの健康管理。病気のイルカがいるときは、こうした観察を24時間体制で続けることもあるそうです。

短時間ながらも、こうしてとことんリアルな職業体験ができるのが「わくワーク」の魅力です。


ミッション3:サインを出してイルカをジャンプさせよう

遂に、最後のミッション「トレーニング」です。技をイルカに指示する際、大事なのはサインのやり方よりも、実はサインを出すタイミングなのだとか。

「まず、イルカの目をしっかり見て右手をまっすぐ前に差し出し『これからサインを出すよ』と伝えます。そして、イルカがしっかりこちらを向いていることがわかってから、サインを出します。イルカが見ていないのにサインをしても、意味がありません。」

「イルカの視力は度数でいえば0.1程度と言われ、目は顔の横についています。サインを出すときは、イルカに見えるように大きく、元気よく腕を動かしてください。」

技が決まったら笛を吹いて、イルカに「その動きでOK」と伝えてあげます。

「笛は短く勢いよく吹きます。トレーニングの間はずっと笛をくわえておいて、技が決まった瞬間にタイミングよく、笛を吹けるようにしておきます。笛を吹くタイミングは、求めていたことが上手にできたとき。ジャンプを高くさせたいなら一番上で吹き、着水姿勢を整えたい場合は水に入る瞬間に吹く、といったイメージです。」

教室で何度も腕の動きと笛を吹くタイミングを確認した子どもたち。さぁ無事にジャンプしてくれるのでしょうか…? 

綺麗なジャンプ! すかさず「ピーッ!」と笛を吹いて、ご褒美にエサをあげます。子どもたちも、見守る親もニッコリ。

最後に、飼育日誌をつけて任務完了。すべてのミッションを完了した子どもたちに、浅川さんから修了証と500円分のお買物券がプレゼントされました。

参加した子どもたちも「イルカにふれあえて楽しかった」、「サインがちゃんと通って嬉しかった」と、短時間ながらもプロと同じ飼育員のお仕事が経験できたことに、大きな達成感を感じたようです。

「将来イルカの飼育員になりたい!」「海の生き物が大好き」そんなお子さんはぜひトライしてみてはいかがでしょうか。

取材協力:下田海中水族館

「イルカと遊べる!イルカと泳げる!」をキーワードに、イルカとのふれあいが楽しめる水族館。自然の入り江をそのまま利用した「ふれあいの海」は、東京ドーム約1個分の広さがあり、ウェットスーツ・マリンブーツ・ライフジャケットを着用し、イルカの観察・ふれあいが楽しめる「うきうきドルフィン」など体験プログラムを多数開催。2016年3月からは、イルカの飼育員の職業体験プログラム・こども飼育員「わくワーク」もスタート。

「下田海中水族館」の施設情報はこちら
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