「子どもが喜びそうな珍しいものがある施設はないかな?」と探しているパパママ必見です! 巨大ステンレス彫刻家の中嶋大道さんが手がけたオブジェがなんたってすごい。
子どもが大好きなカブトムシやクワガタ、バッタなどの昆虫をはじめ、動物や恐竜などの珍しいアート作品をたくさん手がけているんです。今回は中嶋さん本人のインタビューも含めて、作品を厳選紹介します。
巨大オブジェにはどんな思いが込められているのか?
まず、中嶋さんに巨大オブジェを作り始めたきっかけを聞きました。
「もともと大きなものを作るのが好きだったので、サイズ制限されている公募展向けの作品ではなく、大きさが無制限で、自由に作れるモニュメントを選びました。昆虫や動物にとどまらず、きれいだと思うものならすべてモチーフにしています」
モニュメントにはどんな思いが込められているのでしょうか?
「モニュメントは、地域風土と一体化して、地域の永久資産にならないといけません。地域風土を語る永久プロパガンダ(宣伝広告)と考えています」
「30年以上前、感性を主体とする『現代美術』が台頭し始めましたが、私は技術や経験を重視する伝統的な美術の考え方を大切にしています」
大迫力! 巨大アートの数々
現在、中嶋さんの作った巨大オブジェの数は、全国60カ所100体以上にのぼります。その中から、作品21点を中嶋さんのコメントと併せてご紹介します。
※タイトルは【エリア/作品名/施設名】です
※サイズは【高さ×幅×奥行(cm)】を表します
【長野県宮田村・駒ヶ根市】カブトムシ・クワガタムシ/森と水のアウトドア体験広場
■中嶋さんのコメント
「駒ヶ根市の教育長が『森と水のアウトドア体験広場』を作る際、『次の世代に向けて、かすり傷ができるくらいの、わんぱく小僧を育てたい』という願いがありました。オブジェに登ることができるため、人気があります」
■場所:森と水のアウトドア体験広場(長野県上伊那郡宮田村4752-96)
<カブトムシ>
■サイズ:270×550×250
■制作年:2002年
<クワガタムシ>
■サイズ:270×500×250
■制作年:2002年
【長野県長野市】カマキリ/長野市信州新町支所
■中嶋さんのコメント
「信州新町は、現在合併して長野市になりましたが、制作当時は小さな町で、『アート&グルメ』がまちおこしのスローガンでした。まちづくりの中で考えたモニュメントで、カマキリがエアロビクス体操をしています」
■場所:長野市信州新町支所(長野県長野市信州新町新町1000-1)
■サイズ:900×800×800
■制作年:1993年
【長野県東御市】スズメバチ/蜂天国
■中嶋さんのコメント
「スズメバチ芸術館『蜂天国』のオーナーは大のスズメバチ好きです。依頼された作品です」
■場所:蜂天国(長野県東御市加沢435-1)
■サイズ:300×250×250
■制作年:1998年
【長野県小谷村】恐竜/道の駅 小谷
■中嶋さんのコメント
「小谷村では、大きな地滑りが起こり、JR大糸線が廃線の危機に陥りました。復旧したことを全国に発信するため、オブジェを作ることになりました。道の駅の近くに、恐竜の足跡や骨が発掘されたことで、モチーフを決定しました」
■場所:道の駅 小谷(長野県北安曇郡小谷村北小谷1861-1)
■サイズ:400×150×80/1150×320×500
■制作年:1999年
【長野県松川村】スズムシ/松川村役場
■中嶋さんのコメント
「野生のスズムシが生息する松川村では、何十年にもわたって、宅配便で全国にスズムシを送り届けていました。今も『スズムシの里』として知られています」
■場所:松川村役場(長野県北安曇郡松川村76-5)
■サイズ:150×450×230
■制作年:1988年
【鳥取県米子市】カブトムシ・アリ/弓ヶ浜公園
■中嶋さんのコメント
「米子市の教育委員会の課長が私の彫刻を知って、『子どもたちに誰もやっていない彫刻を作っている作家を紹介したい』ということで、米子市で展覧会を開いてくれました。その後、公園にいくつか作品を納めました」
■場所:弓ヶ浜公園(鳥取県米子市両三柳3203-6)
<カブトムシ>
■サイズ:280×240×450
■制作年:1998年
<アリ>
■サイズ:230×250×500
■制作年:2002年
【長野県長野市】ヒツジ/新町奈津女遊園地
■中嶋さんのコメント
「ヒツジは信州新町の特産品です。この地域では、『サフォーク』という種類のヒツジを飼育していて、ジンギスカン専門店があります」
■場所:新町奈津女遊園地(長野県長野市信州新町新町1-1)
■サイズ:100×150×60/60×60×30
■制作年:1989年
【長野県安曇野市】ハクチョウ/長野道安曇野インター前
■中嶋さんのコメント
「安曇野は、信州で最大のハクチョウの越冬地です。ハクチョウは一年中いるわけではないので、モニュメントがお留守番として地域をPRしています」
■場所:長野道安曇野インター前(長野県安曇野市豊科南穂高200)
■サイズ:430×600×350/280×350×150
■制作年:1990年
【長野県小布施町】カブトムシ/竹風堂
■中嶋さんのコメント
「小布施町は、『栗と北斎と花のまち』として親しまれています。栗菓子のお店のオーナーたちが力を合わせ、古い町並みを再生しました。長野県でも地域おこしで成功した数少ない自治体といわれています。栗の木にはカブトムシがたくさんいるということで作った作品です」
■場所:竹風堂(長野県上高井郡小布施町973)
■サイズ:300×200×250
■制作年:1990年
【長野県栄村】デンデンムシ/道路開通記念
■中嶋さんのコメント
「栄村は、長野県でも有数の豪雪地帯です。村長に道路整備の記念として『雪が積もっても見える大きなものがほしい』と頼まれ、高さ4m超えのデンデンムシを納めました」
■場所:道路開通記念(長野県栄村大字堺字西ノ峰11566-3)
■サイズ:450×200×100
■制作年:1993年
【鹿児島県大崎町】カブトムシ/道の駅 くにの松原おおさき
■中嶋さんのコメント
「大崎町では、地域おこしの一環として、昔からカブトムシの相撲大会を開催していました。大きいカブトムシと小さいカブトムシが向かい合って戦っている様子を再現しました。この作品のために、わざわざ家を取り壊して間口を広げてもらったというエピソードがあります。雑誌にも取り上げられました」
■場所:道の駅 くにの松原おおさき(鹿児島県曽於郡大崎町神領2419)
■サイズ:160×200×400/410×300×720
■制作年:1997年
【新潟県阿賀野市】ハクチョウ/天長山公園前
■中嶋さんのコメント
「天長山公園は、ハクチョウの飛来地として全国的に有名な人造湖・瓢湖(ひょうこ)を作った際に出た土を利用して作られた公園です。たくさんのハクチョウが飛んでくることがわかるように、7羽のハクチョウを設置しました」
■場所:天長山公園前(新潟県阿賀野市中央町2-17)
■サイズ:170×120×30
■制作年:1997年
【福島県須賀川市】ゾウムシ・カブトムシ/ムシテックワールド
■中嶋さんのコメント
「『ムシテックワールド』の館長である養老孟司さんが無類の虫好きなんです」
■場所:ムシテックワールド(福島県須賀川市虹の台100)
<ゾウムシ>
■サイズ:110×200×180
■制作年:2017年
<カブトムシ>
■サイズ:190×200×300
■制作年:2017年
【東京都日野市】トノサマバッタ/多摩動物公園 昆虫生態園前広場
■中嶋さんのコメント
「『多摩動物公園』の50周年を記念した作品です。戦争の際、動物をすべて処分したため、戦後は草むらにいたバッタを子どもたちに見せることからスタートしたそうです。オブジェは、戦後の動物園の原点を象徴しています」
■場所:多摩動物公園 昆虫生態園前広場(東京都日野市程久保7-1-1)
■サイズ:120×240×400/260×510×180
■制作年:2004年
【長野県安曇野市】カタツムリ/柏原会館
■中嶋さんのコメント
「私の地元・安曇野市にある公民館の館長が、記念品を置きたいということで、日展に入選した作品を設置しました」
■場所:柏原会館(長野県安曇野市穂高柏原1449)
■サイズ:230×150×100
■制作年:2005年
【山梨県韮崎市】カブトムシ/韮崎中央公園
■中嶋さんのコメント
「韮崎市は自然が豊かで、『韮崎中央公園』はカブトムシとクワガタムシがたくさん取れる公園として全国的に有名です」
■場所:韮崎中央公園(山梨県韮崎市藤井町北下条2531)
■サイズ:200×400×230
■制作年:2009年
【山梨県韮崎市】クワガタムシ/穂坂自然公園
■中嶋さんのコメント
「韮崎市は自然が豊かで、『穂坂自然公園』はクワガタムシとカブトムシがたくさん取れる公園として全国的に有名です」
■場所:穂坂自然公園(山梨県韮崎市穂坂町三ツ沢3507-1)
■サイズ:250×500×230
■制作年:2011年
【長野県安曇野市】健康長寿道祖神/穂高神社
■中嶋さんのコメント
「2013年、長野県が初めて日本一の長寿県になった記念として作りました」
■場所:穂高神社(長野県安曇野市穂高6079)
■サイズ:250×150×150
■制作年:2013年
見るだけじゃもったいない!オブジェの楽しみ方いろいろ
オブジェは、柵をしているところ以外、基本的に触ったり、登ったりしてOK! オブジェの横に並んで写真を撮ると、いかに大きいかがより伝わります。
「オブジェで遊ぶときは、まず施設の人にあいさつしたり、ひと声かけたりするなど、マナーを守って楽しんでくださいね」
中嶋さんの作品は、その大きさに圧倒されるのはもちろん、地域ならではの風土が学べるものばかり。子どもたちが喜ぶこと間違いなしです。ぜひ親子で一緒に足を運んでみましょう。